家計簿目線の医療経済 コスパ患者学
HFpEFへのエンレスト。エビデンス不在でも心不全処方の2割強
第35回
黒澤 恵
2024年1月1日号
薬剤の治療効率と支払額から費用対効果を検討する本連載、第31回で検討した「エンレスト」(アンジオテンシン受容体/ネプリライシン阻害薬=ARNI)をもう一度取り上げたい。興味深い論文が報告されたためだ。それは日本の心不全患者への使用実態である[J Cardiol. Nov.22.2023]。20年8月から1年間に新規処方された1000例弱を医師主導で解析した。目を引いたのは、処方の22.8%が「左室駆出率50%以上」心不全だという点だ。
このような比較的左室機能が保たれた心不全患者に対し、ARNIの処方を推奨すべきエビデンスはあるのだろうか。パラゴンHFと名付けられた無作為化試験を紹介する[NEJM 2019;381:1609]。
同試験では左室駆出率45%以上の心不全患者5000人弱をARNI群とARB群に無作為化し、二重盲検法で35ヵ月間(中央値)追跡した。その結果、ARNI群では「全心不全...
薬剤の治療効率と支払額から費用対効果を検討する本連載、第31回で検討した「エンレスト」(アンジオテンシン受容体/ネプリライシン阻害薬=ARNI)をもう一度取り上げたい。興味深い論文が報告されたためだ。それは日本の心不全患者への使用実態である[J Cardiol. Nov.22.2023]。20年8月から1年間に新規処方された1000例弱を医師主導で解析した。目を引いたのは、処方の22.8%が「左室駆出率50%以上」心不全だという点だ。
このような比較的左室機能が保たれた心不全患者に対し、ARNIの処方を推奨すべきエビデンスはあるのだろうか。パラゴンHFと名付けられた無作為化試験を紹介する[NEJM 2019;381:1609]。
同試験では左室駆出率45%以上の心不全患者5000人弱をARNI群とARB群に無作為化し、二重盲検法で35ヵ月間(中央値)追跡した。その結果、ARNI群では「全心不全入
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