医薬経済オンライン

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読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー

男女に共通する複雑性PTSD

第232回

大西一幸

2024年1月1日号

心的外傷と回復(増補新版) ジュディス・L・ハーマン/中井久夫・阿部大樹訳 みすず書房 2023年10月刊  原題は『TRAUMA  AND  RECOVERY』。「心的外傷」はトラウマのことだが、日本語になった「トラウマ」は、心的外傷の範疇としては捉えにくいものまで含めて日常用語化しているので、あえて使わなかったのかと思った。ただ、訳者の中井久夫は、最初の原書(92年)から訳本が出された96年当時、「トラウマ」は精神科医や臨床心理学の内輪の世界にとどまっていて、「一般に定着しておらず」、あえて「簡潔な原題を煩わしいものにした」と説明している。驚く。そしてわずかな時間で、英語の専門性の高い用語が、日常用語になってしまった日本語の融通無碍さに改めて唸ってしまった。中井は翻訳に際し、「被害者」「犠牲者」「患者」「生存者」といった用語の使い分けに関す... 心的外傷と回復(増補新版) ジュディス・L・ハーマン/中井久夫・阿部大樹訳 みすず書房 2023年10月刊  原題は『TRAUMA  AND  RECOVERY』。「心的外傷」はトラウマのことだが、日本語になった「トラウマ」は、心的外傷の範疇としては捉えにくいものまで含めて日常用語化しているので、あえて使わなかったのかと思った。ただ、訳者の中井久夫は、最初の原書(92年)から訳本が出された96年当時、「トラウマ」は精神科医や臨床心理学の内輪の世界にとどまっていて、「一般に定着しておらず」、あえて「簡潔な原題を煩わしいものにした」と説明している。驚く。そしてわずかな時間で、英語の専門性の高い用語が、日常用語になってしまった日本語の融通無碍さに改めて唸ってしまった。中井は翻訳に際し、「被害者」「犠牲者」「患者」「生存者」といった用語の使い分けに関する説

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