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高齢者のがん薬物治療①

第125回 革新的新薬で生命予後は大きく改善もさまざまな課題が

ジョージメイスン大学大学院(バージニア州)パブリックヘルス専攻  堀玲子

2024年1月15日号

 がん研究振興財団の19年統計によると、65歳以上の高齢者の18年のがん死亡数、罹患率とも70〜80%を占めている。海外も同様な状況で、英国では13〜15年の新規がん患者の3分の1が75歳以上で、米国でも65〜74歳が4分の1を占めている。高齢者は多くの併発疾患を有しており、がん治療との相互作用は、患者の経験や転帰の低下につながる可能性がある。  高齢者のがん治療には大きく分けて3つのポイントがある。  第1は、がん薬物治療は近年外来が中心になり、通院治療が主体になるため、年齢以外の個人差が大きく影響を受けることだ。つまり患者の認知・身体能力、社会的経済能力、精神的な評価やリスクなどを治療の前に優先的に総合的に評価することが必要不可欠となる。身体機能の評価には現在は主に米国臨床腫瘍学会(ASCO)が提唱する高齢者機能評価「GA」(Geriatric Assesme...  がん研究振興財団の19年統計によると、65歳以上の高齢者の18年のがん死亡数、罹患率とも70〜80%を占めている。海外も同様な状況で、英国では13〜15年の新規がん患者の3分の1が75歳以上で、米国でも65〜74歳が4分の1を占めている。高齢者は多くの併発疾患を有しており、がん治療との相互作用は、患者の経験や転帰の低下につながる可能性がある。  高齢者のがん治療には大きく分けて3つのポイントがある。  第1は、がん薬物治療は近年外来が中心になり、通院治療が主体になるため、年齢以外の個人差が大きく影響を受けることだ。つまり患者の認知・身体能力、社会的経済能力、精神的な評価やリスクなどを治療の前に優先的に総合的に評価することが必要不可欠となる。身体機能の評価には現在は主に米国臨床腫瘍学会(ASCO)が提唱する高齢者機能評価「GA」(Geriatric Assesment

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