家計簿目線の医療経済 コスパ患者学
ビクトーザ:日本人に典型的な2型糖尿病でも有用?
第36回
黒澤 恵
2024年1月15日号
予後改善作用と薬価から治療薬の費用対効果(コスパ)を考える本連載、今回は再びGLP―1受容体作動薬に戻り、「ビクトーザ」(リラグルチド)を取り上げたい。「オゼンピック」や「リベルサス」登場前は「トルリシティ」(連載8、9回)に次いで同薬市場を牽引してきた売れ筋商品であり、今でも市場での存在は決して小さくない。
ではこの薬を使うとどれほどの糖尿病患者が救われるのか。エビデンスとして報告されているのは「リーダー」と名付けられた無作為化試験である[NEJM 2016;375:311]。心臓血管系疾患発症リスクの高い2型糖尿病患者9340例が、リラグルチド群と偽薬群に無作為化された。その結果、主要評価項目である「心臓血管系疾患死亡、心筋梗塞、脳卒中」(重篤心臓血管系疾患)の発生率は3.8年後(中央値)、リラグルチド群で1.9%、有意に低値となっていた。同様に副次的...
予後改善作用と薬価から治療薬の費用対効果(コスパ)を考える本連載、今回は再びGLP―1受容体作動薬に戻り、「ビクトーザ」(リラグルチド)を取り上げたい。「オゼンピック」や「リベルサス」登場前は「トルリシティ」(連載8、9回)に次いで同薬市場を牽引してきた売れ筋商品であり、今でも市場での存在は決して小さくない。
ではこの薬を使うとどれほどの糖尿病患者が救われるのか。エビデンスとして報告されているのは「リーダー」と名付けられた無作為化試験である[NEJM 2016;375:311]。心臓血管系疾患発症リスクの高い2型糖尿病患者9340例が、リラグルチド群と偽薬群に無作為化された。その結果、主要評価項目である「心臓血管系疾患死亡、心筋梗塞、脳卒中」(重篤心臓血管系疾患)の発生率は3.8年後(中央値)、リラグルチド群で1.9%、有意に低値となっていた。同様に副次的評価
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