「支配」が原因の陸自凶悪事件②

平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜

「支配」が原因の陸自凶悪事件②

第188回　「社会正義」不在の組織体質

埼玉県国民保護協議会委員　照井資規

2024年1月15日号

　防衛組織とは平時は教育と訓練が主な仕事だ。何かを生産しなくても収入が得られる職業と言っても過言ではない。それが本来の教育を疎かにして安易な方法で人を管理するようになったら、崩壊の兆候である。　前回（1月1日号）は23年12月に21歳の陸上自衛官が82歳男性をメッタ刺しにする事件について取り上げたが、これは「指導」が「支配」に、「厳しい」が「おかしい」になったために起きた事件ではないのか。　陸上自衛隊では「懇切公平慈愛心を以て善導する」ことが本来の「指導」である。指導とは相手がそれを受け入れ、変化することで目的が達成される。指導はする側のほうが、される側よりもはるかに多くの努力を必要とするものだ。また、そうでなければ疲労困憊するなかで凄惨な戦闘に勝てない。高度化した武器も取り扱えないのだ。「厳しさ」とは本来、上級者ほど求... 　防衛組織とは平時は教育と訓練が主な仕事だ。何かを生産しなくても収入が得られる職業と言っても過言ではない。それが本来の教育を疎かにして安易な方法で人を管理するようになったら、崩壊の兆候である。　前回（1月1日号）は23年12月に21歳の陸上自衛官が82歳男性をメッタ刺しにする事件について取り上げたが、これは「指導」が「支配」に、「厳しい」が「おかしい」になったために起きた事件ではないのか。　陸上自衛隊では「懇切公平慈愛心を以て善導する」ことが本来の「指導」である。指導とは相手がそれを受け入れ、変化することで目的が達成される。指導はする側のほうが、される側よりもはるかに多くの努力を必要とするものだ。また、そうでなければ疲労困憊するなかで凄惨な戦闘に勝てない。高度化した武器も取り扱えないのだ。「厳しさ」とは本来、上級者ほど求めら

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