読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー
心音から得る医療の立ち位置
第239回
大西一幸
2024年4月15日号
医療とは何か音・科学そして他者性方波見康雄藤原書店/2024年1月刊
年に2~3度ほど、友人とのんびりと1泊の旅をする。季節が合えば、青春18きっぷでのローカル線鉄道旅。地方の鉄道は駅間の距離が長く、ときには思わぬスピードで走る。すると老友は「ゆっくり行こうや。急がんでもええ」と半ば真顔で怒る。身勝手な思いだが、旅の愉しみはこのゆっくりとしたリズムに包まれている。ローカル線はほぼ単線。駅が近づくと両側にレールが分かれるため、分岐器を通過する。列車はわずかに揺れる。この揺れも旅の実感としてかけがえがない。
今回の読書では、著者である北海道奈井江町の開業医、方波見康雄医師も鈍行列車を好むことを知った。我われ2人の老人は、分岐器の上を揺れながら走り出した列車が短いトンネルを抜けると、忽然と現れる田畑や林やうねる川を見て、おおっ、と...
医療とは何か音・科学そして他者性方波見康雄藤原書店/2024年1月刊
年に2~3度ほど、友人とのんびりと1泊の旅をする。季節が合えば、青春18きっぷでのローカル線鉄道旅。地方の鉄道は駅間の距離が長く、ときには思わぬスピードで走る。すると老友は「ゆっくり行こうや。急がんでもええ」と半ば真顔で怒る。身勝手な思いだが、旅の愉しみはこのゆっくりとしたリズムに包まれている。ローカル線はほぼ単線。駅が近づくと両側にレールが分かれるため、分岐器を通過する。列車はわずかに揺れる。この揺れも旅の実感としてかけがえがない。
今回の読書では、著者である北海道奈井江町の開業医、方波見康雄医師も鈍行列車を好むことを知った。我われ2人の老人は、分岐器の上を揺れながら走り出した列車が短いトンネルを抜けると、忽然と現れる田畑や林やうねる川を見て、おおっ、と声を
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