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一筆入魂

宝塚・会見で明かされたパワハラに名を借りた陰湿なイジメ

「悪意はなかった」の矛盾を追及しなかったメディアの責任

ノンフィクション作家 辰濃哲郎

2024年5月1日号

 宝塚歌劇団の宙(そら)組に在席していた劇団員(25)が自ら命を絶った事件について、劇団側は3月28日、上級生によるパワーハラスメントを認めたうえで、遺族側と合意書を交わしたことを明らかにした。その会見をライブで視ていると、劇団側はパワハラを認めながらも、上級生らに「悪意はなかった」と、8度も繰り返していることに気づく。ひとりの劇団員を死に追いやった陰湿なイジメを「パワハラ」という言葉に置き換え、悪意がなかったと断じてしまう理不尽さに、やりきれない気持ちが湧いてきた。  さらに、苛立ったのは、会見中に「悪意はなかった」と上級生をかばう劇団側に切り込むメディアがいなかったことだ。  劇団側と遺族との間で合意したパワハラ行為は14項目に及ぶ。初めの事件は21年に起きていた。  被害者本人が拒否したにもかかわらず、上級生...  宝塚歌劇団の宙(そら)組に在席していた劇団員(25)が自ら命を絶った事件について、劇団側は3月28日、上級生によるパワーハラスメントを認めたうえで、遺族側と合意書を交わしたことを明らかにした。その会見をライブで視ていると、劇団側はパワハラを認めながらも、上級生らに「悪意はなかった」と、8度も繰り返していることに気づく。ひとりの劇団員を死に追いやった陰湿なイジメを「パワハラ」という言葉に置き換え、悪意がなかったと断じてしまう理不尽さに、やりきれない気持ちが湧いてきた。  さらに、苛立ったのは、会見中に「悪意はなかった」と上級生をかばう劇団側に切り込むメディアがいなかったことだ。  劇団側と遺族との間で合意したパワハラ行為は14項目に及ぶ。初めの事件は21年に起きていた。  被害者本人が拒否したにもかかわらず、上級生が

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