医薬経済オンライン

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平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜

米軍最新戦場救命ガイドライン③

第195回 無秩序で善意に頼る有事の医療

埼玉県国民保護協議会委員 照井資規

2024年5月1日号

 陸上自衛隊は「救命ドクトリン」を掲げている。その目標項目は ①10分以内の救護 ②1時間以内の緊急外科手術 ③あらゆる手段を用いた迅速・確実な後送  の3つだが、どれも現代戦では達成不可能だ。達成不可能なものは目標とは言わない。できないことは誰もめざそうとはしないから、目標として機能しない。目標が定まらない有事の現場とは、本来最も避けるべき無秩序状態である。陸自救命ドクトリンとは、いざその時が来なくとも「日本の有事医療は無秩序状態に陥り、多くの人が死にます。自衛隊は戦い続けることができなくなります」と世界に周知しているようなものだ。  戦闘とは攻撃的意志を持った敵が混乱させに来る。ゆえに混乱状態から秩序ある組織力をいかに早く発揮するかで勝負が決まる。③の、あらゆる手段を用いた迅速・確実な...  陸上自衛隊は「救命ドクトリン」を掲げている。その目標項目は ①10分以内の救護 ②1時間以内の緊急外科手術 ③あらゆる手段を用いた迅速・確実な後送  の3つだが、どれも現代戦では達成不可能だ。達成不可能なものは目標とは言わない。できないことは誰もめざそうとはしないから、目標として機能しない。目標が定まらない有事の現場とは、本来最も避けるべき無秩序状態である。陸自救命ドクトリンとは、いざその時が来なくとも「日本の有事医療は無秩序状態に陥り、多くの人が死にます。自衛隊は戦い続けることができなくなります」と世界に周知しているようなものだ。  戦闘とは攻撃的意志を持った敵が混乱させに来る。ゆえに混乱状態から秩序ある組織力をいかに早く発揮するかで勝負が決まる。③の、あらゆる手段を用いた迅速・確実な後送

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