検証 医薬品と[特許]
日本の特許リンケージとその課題
第28回
元大阪大学大学院 経済学研究科講師 西口博之
2024年5月15日号
パテント・リンケージ(特許リンケージ:Patent Linkage)とは、一般に規制当局が後発品の承認手続きで先発品に係わる特許権の侵害性を考慮するシステムのことである。言い換えれば、先発品を保護する特許権の重要性を尊重しつつ先発品メーカーと後発品メーカーとの特許紛争を事前に整理することによって、後発品の市場への安定供給を実現することを目的としている。
日本版のパテント・リンケージ制度の実態について説明したい。まず、環太平洋パートナーシップ(TPP)と医薬品の保護問題では、その発展版とも言うべき「TPP11」(17年に米国が離脱宣言をした後の11ヵ国)で、パテント・リンケージ問題が重要なテーマとなっている。この「TPP11協定」の締約国は、パテント・リンケージ制度を採用する義務があり、その締結国である日本はパテント・リンケージに該当する仕組みが国内制度...
パテント・リンケージ(特許リンケージ:Patent Linkage)とは、一般に規制当局が後発品の承認手続きで先発品に係わる特許権の侵害性を考慮するシステムのことである。言い換えれば、先発品を保護する特許権の重要性を尊重しつつ先発品メーカーと後発品メーカーとの特許紛争を事前に整理することによって、後発品の市場への安定供給を実現することを目的としている。
日本版のパテント・リンケージ制度の実態について説明したい。まず、環太平洋パートナーシップ(TPP)と医薬品の保護問題では、その発展版とも言うべき「TPP11」(17年に米国が離脱宣言をした後の11ヵ国)で、パテント・リンケージ問題が重要なテーマとなっている。この「TPP11協定」の締約国は、パテント・リンケージ制度を採用する義務があり、その締結国である日本はパテント・リンケージに該当する仕組みが国内制度とし
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