家計簿目線の医療経済 コスパ患者学
タグリッソ:1人3年生存で1800万円も内実は
第45回
黒澤 恵
2024年6月1日号
薬効をNNT(有効例を得るのに必要な治療例数)で評価し、治療効率(コスパ)を考える本連載、今回も抗がん剤を検討する。取り上げるのは「タグリッソ」(オシメルチニブ)だ。23年売上げは抗がん剤の第4位で、前年から減ったとはいえ1087億円(IQVIA調査)を誇る。とくによく使われているのが、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対する1次治療だ。
根拠となったのは、17年に学会報告された無作為化試験「FLAURA」である。従来の標準治療(「エルロチニブ」または「ゲフィチニブ」)に比べて、無増悪生存期間を8.7ヵ月延長した(NEJM 2018;378:113)。また今年、生存期間中央値の有意延長も報告された(NEJM 2020;382:41)。
そこで本稿では、オシメルチニブによる生存改善に必要な薬剤費を試算する。その際「有効例における薬剤費」だけでなく、その有効例に辿り着く...
薬効をNNT(有効例を得るのに必要な治療例数)で評価し、治療効率(コスパ)を考える本連載、今回も抗がん剤を検討する。取り上げるのは「タグリッソ」(オシメルチニブ)だ。23年売上げは抗がん剤の第4位で、前年から減ったとはいえ1087億円(IQVIA調査)を誇る。とくによく使われているのが、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対する1次治療だ。
根拠となったのは、17年に学会報告された無作為化試験「FLAURA」である。従来の標準治療(「エルロチニブ」または「ゲフィチニブ」)に比べて、無増悪生存期間を8.7ヵ月延長した(NEJM 2018;378:113)。また今年、生存期間中央値の有意延長も報告された(NEJM 2020;382:41)。
そこで本稿では、オシメルチニブによる生存改善に必要な薬剤費を試算する。その際「有効例における薬剤費」だけでなく、その有効例に辿り着くまで
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