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時流遡航

日々諸事遊考87

第327回 ─人類が内有する宿命的自己生存本能について思う─

本田成親

2024年6月1日号

 収束の気配がまったく見えないウクライナとロシア間の紛争、そしてまたイスラエルとハマスとの争乱とその延長にあることが明白なイスラエルとイラン間の空爆の応酬——一歩間違うと世界全体を惨劇の渦中へと巻き込んでしまいかねない大戦乱の火種は尽きるところを知らない。これまでも折々指摘してきたように、我われ人類が背負う宿命というものの深刻さには、絶望感をさえ覚えざるを得ない。  この世のすべての生命体がそうであるように、大宇宙の摂理として、ほかならぬ我われ人類の遺伝子のなかにも、己の生存に固執すればするほどに、自らを含む種族全体の壊滅を促進してしまいかねないメカニズムが組み込まれているのであろう。諸々の生命体というものは、何らかの外的圧力によってその命の存続が危機的状況に陥ってしまったとき、それまで程よく内奥に抑制されてきた自己生存本能を剥...  収束の気配がまったく見えないウクライナとロシア間の紛争、そしてまたイスラエルとハマスとの争乱とその延長にあることが明白なイスラエルとイラン間の空爆の応酬——一歩間違うと世界全体を惨劇の渦中へと巻き込んでしまいかねない大戦乱の火種は尽きるところを知らない。これまでも折々指摘してきたように、我われ人類が背負う宿命というものの深刻さには、絶望感をさえ覚えざるを得ない。  この世のすべての生命体がそうであるように、大宇宙の摂理として、ほかならぬ我われ人類の遺伝子のなかにも、己の生存に固執すればするほどに、自らを含む種族全体の壊滅を促進してしまいかねないメカニズムが組み込まれているのであろう。諸々の生命体というものは、何らかの外的圧力によってその命の存続が危機的状況に陥ってしまったとき、それまで程よく内奥に抑制されてきた自己生存本能を剥き

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