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医工連携

有機低分子の錬金術師

医工連携の実践者117 吉田優 東京理科大学准教授

2024年6月15日号

 有機硫黄化合物は、生体に影響を与える物質として、古くから農薬や医薬品などに広く用いられてきた。  例えば硫黄と窒素を含む6員環化合物のチアジンが両脇をベンゼン環に挟み込まれた構造の分子フェノチアジンは、その窒素に官能基の付いた誘導体が、古典的な抗精神病薬であるクロルプロマジンや同じく古典的な抗ヒスタミン薬であるプロメタジンなどとして用いられるなど、強い生物活性を持つことで知られている。  これら有機硫黄化合物の合成は、ベンゼン環の隣り合った(オルト位)炭素にハロゲンである臭素とチオ基(硫黄と水素)が結合したo-ブロモベンゼンチオールを原料として、その臭素(ブロモ基)やチオ基に官能基を結合させたり置き換えたりという手法が汎用されてきたのだが、元のブロモ基とチオ基の位置が近くて互いに干渉するため、共存させられる官能基は限...  有機硫黄化合物は、生体に影響を与える物質として、古くから農薬や医薬品などに広く用いられてきた。  例えば硫黄と窒素を含む6員環化合物のチアジンが両脇をベンゼン環に挟み込まれた構造の分子フェノチアジンは、その窒素に官能基の付いた誘導体が、古典的な抗精神病薬であるクロルプロマジンや同じく古典的な抗ヒスタミン薬であるプロメタジンなどとして用いられるなど、強い生物活性を持つことで知られている。  これら有機硫黄化合物の合成は、ベンゼン環の隣り合った(オルト位)炭素にハロゲンである臭素とチオ基(硫黄と水素)が結合したo-ブロモベンゼンチオールを原料として、その臭素(ブロモ基)やチオ基に官能基を結合させたり置き換えたりという手法が汎用されてきたのだが、元のブロモ基とチオ基の位置が近くて互いに干渉するため、共存させられる官能基は限ら

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