医薬経済オンライン

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技術革新と製薬企業の明日

GLP―1がもたらす新世界

第163回 アルツハイマー病適応にも挑む

宮田総研代表取締役 宮田満

2024年6月15日号

 5月7日に米モルガン・スタンレー・リサーチ(MRS)が発表した調査によると、肥満薬としての世界市場が30年には最大1440億ドルに達するという。前回調査の時よりも770億ドル以上増加する強気の予測だ。23年の時点で、GLP-1受容体作動薬を肥満薬として販売している米イーライリリーとデンマークのノボノルディスクの製品の売上げはすでに60億ドルに達している。しかし、これだけで止まらないのがGLP-1のインパクトの強さだ。現在、2型糖尿病治療薬と抗肥満薬と見做されているGLP-1だが、幅広い臨床研究で次々と新しい薬効が証明されてきた。循環器や腎臓疾患、肝臓病、うつ病、アルツハイマー病などまるで万能薬のような用途展開が始まろうとしている。  当初想定されていたGLP-1の血糖調節による体重制御という単純な治療薬ではなく、中枢神経系に対する作用、消化管運動に対する作用など...  5月7日に米モルガン・スタンレー・リサーチ(MRS)が発表した調査によると、肥満薬としての世界市場が30年には最大1440億ドルに達するという。前回調査の時よりも770億ドル以上増加する強気の予測だ。23年の時点で、GLP-1受容体作動薬を肥満薬として販売している米イーライリリーとデンマークのノボノルディスクの製品の売上げはすでに60億ドルに達している。しかし、これだけで止まらないのがGLP-1のインパクトの強さだ。現在、2型糖尿病治療薬と抗肥満薬と見做されているGLP-1だが、幅広い臨床研究で次々と新しい薬効が証明されてきた。循環器や腎臓疾患、肝臓病、うつ病、アルツハイマー病などまるで万能薬のような用途展開が始まろうとしている。  当初想定されていたGLP-1の血糖調節による体重制御という単純な治療薬ではなく、中枢神経系に対する作用、消化管運動に対する作用など、直

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