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間違いだらけのHTA

米ICER・遺伝子治療の支払戦略白書

第108回

横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中

2024年7月1日号

 米国民間非営利のICER組織(臨床・経済評価研究所)は4月、白書「遺伝子治療の費用負担の課題を管理する方法—市場対応と政策改革の戦略」(※)を発行し、米国における遺伝子治療の価格設定・給付条件設定のあり方についての提言を行った。  現時点で、米国で承認されている単回投与の遺伝子治療薬は17種だが、今後10年間で承認される見込みの遺伝子治療は85種に及ぶ。白書中の表1が示すように年間の「投与可能患者数」は、23年には約1200人(新規罹患者300人・既発症者900人)だが、32年には約5.0万人(新規罹患者3.7万人・既発症者1.3万人)まで増加することが見込まれる。  リストプライスで計算した場合の米国での市場規模は、10年間で350億〜400億ドル(5兆3000億〜6兆4000億円)に達するとされる。小規模な保険者や州単位のメディケイドのみならず、多く...  米国民間非営利のICER組織(臨床・経済評価研究所)は4月、白書「遺伝子治療の費用負担の課題を管理する方法—市場対応と政策改革の戦略」(※)を発行し、米国における遺伝子治療の価格設定・給付条件設定のあり方についての提言を行った。  現時点で、米国で承認されている単回投与の遺伝子治療薬は17種だが、今後10年間で承認される見込みの遺伝子治療は85種に及ぶ。白書中の表1が示すように年間の「投与可能患者数」は、23年には約1200人(新規罹患者300人・既発症者900人)だが、32年には約5.0万人(新規罹患者3.7万人・既発症者1.3万人)まで増加することが見込まれる。  リストプライスで計算した場合の米国での市場規模は、10年間で350億〜400億ドル(5兆3000億〜6兆4000億円)に達するとされる。小規模な保険者や州単位のメディケイドのみならず、多くの加

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