医薬経済オンライン

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間違いだらけのHTA

家族への波及効果、HTAでの取扱いは

第109回

東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中

2024年8月1日号

「オカネ」(cost)と「QALY」(質調整生存年)以外に治療の価値を構成する要素として、生産性損失や疾患の重篤度とともに活発に議論されているのが介助者(おもに家族)の健康状態への影響だ。多面的な価値として12の要素をまとめたISPOR(国際医療経済・アウトカム研究学会)タスクフォースの「Value flower」でも、「Family Spillover」(家族への波及効果)として、要素のひとつを構成している。  もともと介助者や家族の影響は、古典的には「患者の介助をするために仕事を休む・辞める」というかたちで、生産性損失の1要素として扱われてきた。生産性損失として扱う場合、介助者へのインパクトは費用面に限定される。  併せて、患者本人であれ介助者であれ、生産性損失を分析に算入できるか否かは、分析の立場によって変わりうる。「医療費支払者の立場」をとった場合に... 「オカネ」(cost)と「QALY」(質調整生存年)以外に治療の価値を構成する要素として、生産性損失や疾患の重篤度とともに活発に議論されているのが介助者(おもに家族)の健康状態への影響だ。多面的な価値として12の要素をまとめたISPOR(国際医療経済・アウトカム研究学会)タスクフォースの「Value flower」でも、「Family Spillover」(家族への波及効果)として、要素のひとつを構成している。  もともと介助者や家族の影響は、古典的には「患者の介助をするために仕事を休む・辞める」というかたちで、生産性損失の1要素として扱われてきた。生産性損失として扱う場合、介助者へのインパクトは費用面に限定される。  併せて、患者本人であれ介助者であれ、生産性損失を分析に算入できるか否かは、分析の立場によって変わりうる。「医療費支払者の立場」をとった場合には、

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