医薬経済オンライン

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働く脊損者<オッサン>

客観的な回復と主観的な焦り

第06回

株式会社グルメ杵屋 最高デジタル責任者 河上崇陽

2024年9月1日号

 僕の家にはテレビがないので、パリ五輪の話題は専らYouTubeの最新動画のサムネイルや家族やヘルパーなどとの雑談で触りを知るだけだった。そもそも五輪よりも、この猛暑で自分がこの夏を無事に生き延びられるかと言うチャレンジで頭がいっぱいだったというのが正直なところだ。今年の夏は退院後初めての夏であり、他の頸髄損傷の人の話を聞くと、家にいても脱水で危うく命を落としかけたとか、体温が急上昇して熱中症で救急搬送されたなどの切実なエピソードが多い。さらに南海トラフ地震の注意報が出されたが、体が不自由な僕が非常時に果たして逃げ切れるのか、正しい答えがない問いが頭を駆け巡った。  そんななか、受傷してからすでに2年が経ったことを周囲から指摘された。去年の今頃は大阪の病院に転院し、いつ退院できるのかという不安に押し潰されそうになっていた。念願叶って退...  僕の家にはテレビがないので、パリ五輪の話題は専らYouTubeの最新動画のサムネイルや家族やヘルパーなどとの雑談で触りを知るだけだった。そもそも五輪よりも、この猛暑で自分がこの夏を無事に生き延びられるかと言うチャレンジで頭がいっぱいだったというのが正直なところだ。今年の夏は退院後初めての夏であり、他の頸髄損傷の人の話を聞くと、家にいても脱水で危うく命を落としかけたとか、体温が急上昇して熱中症で救急搬送されたなどの切実なエピソードが多い。さらに南海トラフ地震の注意報が出されたが、体が不自由な僕が非常時に果たして逃げ切れるのか、正しい答えがない問いが頭を駆け巡った。  そんななか、受傷してからすでに2年が経ったことを周囲から指摘された。去年の今頃は大阪の病院に転院し、いつ退院できるのかという不安に押し潰されそうになっていた。念願叶って退院

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