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平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜

日本に必要な戦闘外傷救護教育④

第203回 最も重要な、異状を覚知する訓練

埼玉県国民保護協議会委員 照井資規

2024年9月1日号

 危機は単独でやって来ない。最も事態が悪化し、被害が拡大し、犠牲者が増える時期は、何の事態であるかが判明する前である。  このことから、米国や在日米軍では「アウェアネス」、欧州のNATO(北大西洋条約機構)と英国では「レコグナイズ」と呼ばれる、異状を覚知するための訓練が重視されている。米軍とNATO、オーストラリア軍(英連邦)で導入されているTCCCのアプローチが「(MARCHE)2-E-PAWS-B」へと進化し、戦闘外傷の救命がCBRNe(化学・生物・放射性物質・核・爆発物)事態対処へと統合された(※1)。英国のJESIPも6月に改定され、レコグナイズの重視と国民自らによる防護、除染・移染、通報の迅速化を標準化した(※2)。  化学剤や生物毒、放射性物質が散布された場合はそれらが人体に及ぼす作用が速いため、検知してから対処していては手遅れになる。神経剤を用...  危機は単独でやって来ない。最も事態が悪化し、被害が拡大し、犠牲者が増える時期は、何の事態であるかが判明する前である。  このことから、米国や在日米軍では「アウェアネス」、欧州のNATO(北大西洋条約機構)と英国では「レコグナイズ」と呼ばれる、異状を覚知するための訓練が重視されている。米軍とNATO、オーストラリア軍(英連邦)で導入されているTCCCのアプローチが「(MARCHE)2-E-PAWS-B」へと進化し、戦闘外傷の救命がCBRNe(化学・生物・放射性物質・核・爆発物)事態対処へと統合された(※1)。英国のJESIPも6月に改定され、レコグナイズの重視と国民自らによる防護、除染・移染、通報の迅速化を標準化した(※2)。  化学剤や生物毒、放射性物質が散布された場合はそれらが人体に及ぼす作用が速いため、検知してから対処していては手遅れになる。神経剤を用いる

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