読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー
和解と赦しの一方的正義
第250回
大西一幸
2024年10月1日号
真実と修復
暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策
ジュディス・L・ハーマン/阿部大樹訳
2024年3月刊/みすず書房
ジュディス・L・ハーマンの本は2冊目。24年1月1日号の本欄で『心的外傷と回復(増補新版)』の読後感想を伝えた。同書は中井久夫と阿部大樹の共訳だったが、中井が亡くなったこともあってか、今回の訳者は阿部だけだ。
『心的外傷と回復』に関して故中井は、「心的外傷」をトラウマと訳さなかったこと、精神科系臨床用語が日常用語化するなかで、ハーマンの言葉や訳者らの言葉が「日本社会用語」とズレて(それもかなり深く)いることに注意を払ったことを明らかにし、「被害者」「犠牲者」「患者」「生存者」といった用語の使い分けに関する説明を付していた。
ハーマンの前書で私が蒙を啓かれたと感じ...
真実と修復
暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策
ジュディス・L・ハーマン/阿部大樹訳
2024年3月刊/みすず書房
ジュディス・L・ハーマンの本は2冊目。24年1月1日号の本欄で『心的外傷と回復(増補新版)』の読後感想を伝えた。同書は中井久夫と阿部大樹の共訳だったが、中井が亡くなったこともあってか、今回の訳者は阿部だけだ。
『心的外傷と回復』に関して故中井は、「心的外傷」をトラウマと訳さなかったこと、精神科系臨床用語が日常用語化するなかで、ハーマンの言葉や訳者らの言葉が「日本社会用語」とズレて(それもかなり深く)いることに注意を払ったことを明らかにし、「被害者」「犠牲者」「患者」「生存者」といった用語の使い分けに関する説明を付していた。
ハーマンの前書で私が蒙を啓かれたと感じた
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