医政羅針盤
高額療養費限度額引き上げの問題点
山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰
2024年12月15日号
厚生労働省は、11月21日の社会保障審議会医療保険部会で、高額療養費制度の自己負担限度額を引き上げる方向で議論を始めた。
高額療養費制度の自己負担限度額に関しては、22年12月22日の「新経済・財政再生計画改革工程表2022」のなかで「世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点からの検討」を行うこととされ、23年12月22日の「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について」では、「賃金等の動向との整合性等の観点から、必要な見直しの検討を行う」との方針が定められていた。
これらを受けて始まった今回の見直しの検討では、現行制度で所得に応じて70歳未満で5区分、70歳以上で6区分の設定がなされている患者の自己負担の月額上限について、①限度額水準の一定程度の引き上げと、②所得区分の細分化を行う...
厚生労働省は、11月21日の社会保障審議会医療保険部会で、高額療養費制度の自己負担限度額を引き上げる方向で議論を始めた。
高額療養費制度の自己負担限度額に関しては、22年12月22日の「新経済・財政再生計画改革工程表2022」のなかで「世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点からの検討」を行うこととされ、23年12月22日の「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について」では、「賃金等の動向との整合性等の観点から、必要な見直しの検討を行う」との方針が定められていた。
これらを受けて始まった今回の見直しの検討では、現行制度で所得に応じて70歳未満で5区分、70歳以上で6区分の設定がなされている患者の自己負担の月額上限について、①限度額水準の一定程度の引き上げと、②所得区分の細分化を行う方
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