一筆入魂
雄勝病院職員の“生還者”の長男と偶然に出会う
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2025年3月1日号
あのとき、何度も取材した“生還者”の長男と出会ったのは、まったくの偶然だった。
私は毎年、宮城県薬剤師会が主催する薬科大学の実習生を対象とした被災地医療研修ツアーに同行している。石巻を中心に東日本大震災の被災地をめぐって、薬剤師がどんな活動をしたかを知るバスでのツアーだ。
昼食を終えた石巻の道の駅での休憩時間だった。店の外にいた私の近くで男子の学生が冗談を交わしながら話していた。
次の訪問先である石巻市立雄勝病院の跡地では、私が30分、話をすることになっている。
雄勝地区は石巻市といっても中心街から車で40~50分ほど離れている過疎地の半島だ。その海辺に町で唯一の病院があった。震災時には40人の患者が入院していた。そのうち自力で歩けるのはたったひとり。典型的な地域の慢性疾患を診る病院だ。
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あのとき、何度も取材した“生還者”の長男と出会ったのは、まったくの偶然だった。
私は毎年、宮城県薬剤師会が主催する薬科大学の実習生を対象とした被災地医療研修ツアーに同行している。石巻を中心に東日本大震災の被災地をめぐって、薬剤師がどんな活動をしたかを知るバスでのツアーだ。
昼食を終えた石巻の道の駅での休憩時間だった。店の外にいた私の近くで男子の学生が冗談を交わしながら話していた。
次の訪問先である石巻市立雄勝病院の跡地では、私が30分、話をすることになっている。
雄勝地区は石巻市といっても中心街から車で40~50分ほど離れている過疎地の半島だ。その海辺に町で唯一の病院があった。震災時には40人の患者が入院していた。そのうち自力で歩けるのはたったひとり。典型的な地域の慢性疾患を診る病院だ。
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