薬のおカネを議論しよう
ゾルゲンスマ開発の軌跡で見る利益優先主義
第132回
医療ガバナンス研究所医師 谷本哲也
2025年3月1日号
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、運動ニューロンの変性によって進行性の筋萎縮を引き起こす遺伝性疾患だ。SMA患者の多くは幼児期に死亡するが、「ゾルゲンスマ」により、劇的な改善が期待されるようになった。日本では20年3月に承認され、薬価は1回約1億6700万円。日本はもちろん、世界でも最も高額な医薬品のひとつとなっている。高額薬価に疑問を投げかける記事が、2月に非営利調査報道組織「プロパブリカ」によって発表されたので紹介しよう。
そもそもこの治療法の確立初期には、慈善患者会の役割が大きく、SMA治療研究のために約200万ドルを集め、小児病院の研究プログラムに資金を提供していた。その結果、AAV9ベクターを用いた遺伝子治療の開発が加速された。しかし、バイオテクノロジー企業アベクシスがこの研究の権利を取得し、最終的にノバルティスへと売却され、研究の方向性は企業...
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、運動ニューロンの変性によって進行性の筋萎縮を引き起こす遺伝性疾患だ。SMA患者の多くは幼児期に死亡するが、「ゾルゲンスマ」により、劇的な改善が期待されるようになった。日本では20年3月に承認され、薬価は1回約1億6700万円。日本はもちろん、世界でも最も高額な医薬品のひとつとなっている。高額薬価に疑問を投げかける記事が、2月に非営利調査報道組織「プロパブリカ」によって発表されたので紹介しよう。
そもそもこの治療法の確立初期には、慈善患者会の役割が大きく、SMA治療研究のために約200万ドルを集め、小児病院の研究プログラムに資金を提供していた。その結果、AAV9ベクターを用いた遺伝子治療の開発が加速された。しかし、バイオテクノロジー企業アベクシスがこの研究の権利を取得し、最終的にノバルティスへと売却され、研究の方向性は企業主
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