薬のおカネを議論しよう
グローバルサウス時代の医薬品供給体制
第134回
医療ガバナンス研究所医師 谷本哲也
2025年4月1日号
グローバルサウスが世界的に注目されている。私も国際共同論文に参加する機会を得て、医薬品供給の課題について執筆した。従来と捉え方が異なるのは、インドやブラジル、アフリカ諸国等が経済力を付け、人口規模も大きくなり、北側諸国の地位低下が顕著なことだ。そのうえで、南側諸国は自国中心主義・権威主義的な政体も珍しくなく、米国を中心とした北側自由主義諸国からの援助といった旧来型の価値観が通用しない時代に入っているのが特徴だ。
その背景を踏まえた上でも、極めて高額な新薬の価格は、とくにグローバルサウス諸国で医薬品へのアクセスを著しく制限している。このアクセス格差を生み出す最大の要因は、公平な医薬品アクセスよりも収益性を優先するグローバル製薬企業の価格設定戦略である。価値基準価格が高額薬剤の価格を正当化する手段として用いられ、価格には製造コ...
グローバルサウスが世界的に注目されている。私も国際共同論文に参加する機会を得て、医薬品供給の課題について執筆した。従来と捉え方が異なるのは、インドやブラジル、アフリカ諸国等が経済力を付け、人口規模も大きくなり、北側諸国の地位低下が顕著なことだ。そのうえで、南側諸国は自国中心主義・権威主義的な政体も珍しくなく、米国を中心とした北側自由主義諸国からの援助といった旧来型の価値観が通用しない時代に入っているのが特徴だ。
その背景を踏まえた上でも、極めて高額な新薬の価格は、とくにグローバルサウス諸国で医薬品へのアクセスを著しく制限している。このアクセス格差を生み出す最大の要因は、公平な医薬品アクセスよりも収益性を優先するグローバル製薬企業の価格設定戦略である。価値基準価格が高額薬剤の価格を正当化する手段として用いられ、価格には製造コス
有料会員限定
会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください
【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)
ログイン
会員登録