アジアにはさまざまな種類の竹があり、それぞれ自国の竹を使った日用品がありますが、普段使いとは段違いの美術品としての竹工芸品は、実に繊細で美しい曲線の形を作り出しています。


 先日行った東京国立近代美術館工芸館で開催中の「竹工芸の名品展−ニューヨークのアビー・コレクション メトロポリタン美術館所蔵」(12/8まで、大阪は12/21から)では1990年代から収集を始めたアメリカ人現代美術コレクターであるダイアン&アーサー・アビー夫妻の竹工芸品コレクション200点以上のうち75点が里帰り展示され、そのすばらしい作品を鑑賞することができました。19世紀後半から第二次世界大戦後に作られた人間国宝の代表作までカバーされています。メトロポリタン美術館で公開されたときは40万人以上の来場者があったそうです。こんなコレクターがいてくれてありがたいです。





 日本人には日用品なので、昔は芸術品として竹工芸品を見るというのはあまりなかったかもしれませんが、柳宗悦が民芸を提唱して日用品にこそ美しさがあるという運動を起こしてからは変わってきたのかもしれません。当時、台湾と日台技術交流があり、互いに影響し合って技術が高められた経歴があるそうです。


 それぞれの工芸家が1人で時間をかけて創り上げたものですが、会場では2人の作家の作業工程を撮ったドキュメンタリーも見ることができ、少し長い映像でしたが目が離せませんでした。


 母の田舎では以前、竹工芸品を生業としている人が家の裏の竹を切って持ち帰り、こちらの希望する籠やざるなどの容器を作って持ってきてくれたそうですが、蓋などはぴっちりと嵌まって、しっかりとしたもので重宝したそうです。私の台湾製の飴入れに使っている小物入れも蓋がしっかりできて気に入っています。


 旅行先の台湾やベトナムで目にすると、時間を忘れてしまいます。とてもしっかりして美しいのにお手頃値段なので、つい買ってしまいます。ベトナムで買った竹枕も軽くて通気性に優れて寝心地いいし、持って帰るときの荷造りがちょっと大変ですが、またどこかで安くて素敵な竹工芸品に出会いたいものです。