それぞれの美術館は数多くの収蔵品を抱えていますが、そのすべてが常設で展示されているわけではなく、学芸員らがいろいろなコンセプトを考え、それに合わせて作品を集めて展示を構成しています。


 さて、皇居マラソンをする人が必ず通る竹橋にある国立近代美術館で、現在開催されている『眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで』(2/23まで)は、2010年、2015年に続いて国立美術館コレクションを紹介する第3弾の企画展だそうです。



〝眠り〟という抽象的なものをキーワードにした作品を〝序章:目を閉じて〟から、〝終章:もう一度、目を閉じて〟までの7章に分けられ構成されています。時代も国も広範囲にわたる33人のアーティストの絵画だけでなく写真や映像などさまざまな形態の作品約120点を見ることができるこの展示は、作品群をどういう考えでまとめたのかを各章の文を読んでからまわると、ただ作品だけを見るのとは少し違う見方ができたのが面白かったです。



 最初にルーベンスの2人の子供の油絵が目に飛び込んできて、その少し先にルドンの『目を閉じて』やクールベや藤田嗣治などが続き、やがて昨年話題だった塩田千春の映像作品や海外アーティストの作品が並んでいるのを眺めて、この章はどういう意図によってまとめられたのか思い返したり、そんなことは忘れて目の前の作品を見入ったり、〝ルーブル美術館展〟とか〝ゴッホ展〟というくくりの展覧会のときとは少し違う鑑賞ができました。



 またここの常設展が『MOMATコレクション 特集:「今」とかけて何と解く?』というコンセプトで、9つの部屋に以前ここで見たことのある名作も絡めながら、ちょっと意表をつかれた展示だったりしておもしろかったです。



 さらに小企画『日本で生み出された、男性をかたどった彫刻』もあまりじっくりと見ることの少ない男性像をこうしてまとめるというのがこれまでなかったので興味深かったです。



企画展のチケット提示ですべて見ることができるので、時間と体力に余裕があればぜひ全部まわってみてください。