両国の江戸東京博物館の先、北斎通り沿いの緑町公園の一角に建つ巨大な銀色のオブジェ。ずっと行ってみたかったすみだ北斎美術館はいきなり視界に入ってきました。入口はちょっとわかりずらい真ん中の三角の部分。通路もなっていてそのまま通り抜けられます。右側の空間にチケット売場とショップがあり、購入後エレベーターで3階へ。そこから企画展が始まります。外観のイメージより中は広かったです。



 今開催しているのは『筆魂 線の引力・色の魔力―又兵衛から北斎・国芳まで―(後期)』(4/4まで)です。浮世絵の版画ではなく、絵師が全部手掛ける肉筆画の展覧会です。ここまで多くの絵師の肉筆画作品を観るのは初めてです。女性を描いた作品はその着物の細かい模様に艶やかな色が美しく、圧倒されました。実は版画の浮世絵は絵師の下絵は素晴らしくとも、その線を再現する彫師、色を擦り出す摺師の腕あってこそだから、あまり上手くない絵師もいたのではないかと思っていましたが、まず師匠のもとで修行しているのでそんなことはないというのがよくよくわかりました。



 初めて目にした絵師の中で最も驚いたのが勝川春好です。大首絵で知られていたのに40歳代で中風のため右手が使えなくなってから、左手で肉筆画を描いたという作品には署名に「左筆」と書かれていても、とてもそうは見えない筆運びでした。もちろん北斎の作品も多くて、つくづく多作だったのがわかります。


 さて、常設展は北斎の生まれてからなくなるまでの間がいろんな変遷ごとに区切られ、代表的な作品が並んでいますが、面白いのはタッチパネルです。「北斎漫画を画面上でめくるとアニメのように絵が次々に現れたり、無地の着物に好きな柄を入れられたり、一筆書きが成功すると絵が浮き出る、文字を当てはめてると絵が出来上がるなどこれは全部やりたくなります。他に北斎と阿栄の様子がリアルで怖いくらいの人形で再現されています。



 いろいろ堪能して、さあ帰ろうと思ったときに気がついたのですが3階から下へ行くのにエレベーターが2基あるだけで階段がありません。3階から4階へは螺旋階段があります。また地下のロッカーも1階から螺旋階段でも行けますが、入場者が多いとエレベーター待ちで大混乱なのは想像に難くないです。あとで口コミを見るとやはり苦情が多かったです。


 トイレは3階に男女1つづつと地下には多く設置されているそうです。1階にもありますがチケット売場のすぐ横という何とも入りづらい位置でした。


 とりあえず平日に行くことをお勧めします。帰りは北斎通りを直進して江戸東京博物館を左に見ながら歩くとこれから桜が楽しめます。さらに先に行くと旧安田庭園でのんびり休憩できますし、余力があればその一角の刀剣博物館に寄るのもいいかもしれません。