全国の廃校がさまざまにリノベーションされて、また人々が集う空間になってきていますが、そのなかでアートに関連した施設になったところがあります。

 JR秋葉原駅と御徒町駅の中間あたり、銀座線末広町駅のすぐ近くにある〝アーツ千代田3331〟は旧千代田区立錬成中学校を改修し、2010年からアートセンターとして地域の人々も多く参加できるワークショップやトークイベントを定期的に開催しています。校舎の前の広い階段はベンチにもなり、1階にはカフェやショップもあって校庭部分が錬成公園になっています。館内はいくつものギャラリーやスタジオ、フリースペースなどに使われて、アートに対して構えずにふらっと立ち寄れる感じですし、子どもたちも気軽に来れるのがすばらしい。ほとんど学校の設備をそのまま使用しているので、何だか子ども時代に戻ったような感覚も味わえるのもまたいいです。



 毎年〝祭にみる江戸・東京のひととまち〟として「神田祭」「山王祭」の時期にあわせ、企画展やイベントを多く開催しています。2013年の『祭礼図巻にみる江戸の粋』での「立版古」を組み立てるというワークショップに参加しました。子どもの頃の雑誌のふろくによくあったいわゆるペーパークラフトで、一生懸命ハサミで紙を切り抜いて作ったのを思い出しながら工作ができてとても楽しめました。残念ながら昨年からはこういうイベントは中止になってしまいましたが、「2022年初夏まで延期」ということなので、来年は開催できるといいなと思います。



 ここのギャラリーで先日観た『櫻井充写真展「Fe」』(終了)は大判のほぼ白黒の作品が壁いっぱいに並べられていて、広めの空間で、ゆったり観ることができました。鉄をモチーフにした2部構成でチラシに使われていた「鉄塔シリーズ」ともうひとつの砂鉄などが生き物のような「磁石シリーズ」が魅力的でした。今開催しているのは村上生太郎の個展『Inner journey』(4/25まで)、『アキバタマビ21 第88回展覧会「いまだかつてあるゆらぎ」』(〜5/16まで)などです。先入観なくいろんなアートに出会えるのがいいです。


 次の特別企画展『疫病・たいさ〜ん!江戸の人々は病いとどう向き合ったか』(4/17〜5/16)は、まさに今だからこそのもので、チラシを見るとなかなかおもしろそうです。


 ついでに検索して見つけたのが〝IID世田谷ものづくり学校〟。ここは主にいろんなワークショップが日々開催されていて人気なようです。ギャラリーの『中沢梓 大和絵展〝花武騎者-カブキモノ-〟(4/18まで)というのも気になります。


 地元にもこうゆうところがあればいいのにと思いますが、学校が廃校になってしまったのはやはり寂しい。せめて子どもたちの声が響く場所として続いてほしいです。