コロナ禍でほとんど観客を迎えることなく終了してしまった展覧会がいくつもありました。以前紹介した東京都近代美術館の『あやしい絵』展は後期にも行きたいと思っていましたが、閉館のまま展示終了になってしまいました。ところがそこで観た作品がまたチラシになっているのを見つけて、どういうことなのかとよく見たら、それはその絵の持ち主のコレクションを一堂に集めた展覧会で、東京ステーションギャラリーの『コレクター福富太郎の眼〜昭和のキャバレー王が愛した絵画』(6/27まで)でした。6月1日に再開したので、これはまた何かあったらいけないと思い、すぐに行ってみました。



 さて、展覧会というのは何年もかけて企画・準備されてから公開の運びとなるので、今は人だけでなく作品も海外から日本に入って来づらいなか、国内の作品を急遽集めて展示されているわけではないのですが、ここのところ近代日本のこれまであまり日の目を見て来なかった作家の展示が次々とされているような気がします。この時代の美術品といえば、これまではにいわゆるジャポニズムの影響を受けたアールヌーボーなどの海外美術の潮流をあらわす企画が多かったのですが、同時代日本で注目され活躍していた作品に焦点をあてた展覧会がこんなにも立て続けに話題の美術展として開催されたことはこれまでなかったです。まぁ、私のアンテナがそっちに伸びていなかっただけかもしれませんが、今手元にある過去のチラシを眺めても、そういう傾向はない気がします。それは最近発見があったり、研究が進んで、研究者や学芸員が満を辞して企画した結果なのでしょう。


 このひとりのコレクターの集めた絵画は、初めて知った画家の作品や、最近覚えた画家の別の作品を観ることもできておもしろかったです。キャバレー王の異名を持つ人物が、生前ずいぶんテレビにも出ていたのも知りませんでしたが、自分が良いと信じた作品の作者が無名でも入手し、集めるだけではなく、よく調べて多くの著作も残しているそうです。これまで西洋の富豪コレクターの名を冠した展覧会はいくつも観てきましたが、日本人でこんな人がいたのを初めて知ることができたのも収穫でした。


 チケットはローソンのLoppiでLコードの「39952」を入力して日時を選び、出てきた紙をレジでチケットに替えてもらいます。流石に2度目なので、少しは早く操作できましたがやっぱり面倒ですね。


 あと3週間ほどなので気になる方はすぐに予約することをお勧めします。