東大弥生門近くの住宅地にあるせいか毎回迷ってしまう弥生美術館は、ここも日時事前予約制ですが登録して送られてきた予約番号ではなく、登録した名前を聞かれ、係の人がプリントされた名簿を繰りながら確認するというちょっとゆるいアナログな対応でした。確認後に料金を支払うシステムです。


 今開催中なのは『高畠華宵展』(9/26まで)です。チラシには〝ジェンダーレスなまなざし〟とあり、確かに華宵といえば少し重たげなまぶたの美少女・美少年のイラストが浮かび、この言葉は彼の作品にぴったりです。そういえば本人についてはほとんど知りませんでしたが、この展示で当時どれだけ人気があったのかよくわかりました。彼の挿絵や表紙画の掲載された雑誌の購買層である少年少女だけではなく、今でいうキャラクターグッズのような便箋なども出回り、多くの人々に熱狂的に支持された華宵は、かなりデカダンな生活を謳歌していたようです。最盛期に鎌倉に建てた通称「華宵御殿」の写真を見るとまるで西洋の貴族の館かと思う豪華さで、彼なりの美意識を追い求めていたのが見て取れます。インタビューで「どんな女性にも〝美しさ〟はあります」と言っていたのが印象的でした。生涯独身だったそうですが、今で言うノンバイナリーだったのかなと思いました。しかしながら、浮き世は移ろいやすく、戦後にはすっかり忘れられてしまった華宵が、戦後ファンによって再び脚光を浴びる機会を得、死後にそのファンとして彼を支えた弁護士のコレクションをもとに私設美術館として建てられ、のちに同時代の大人気の竹久夢二の作品を集めた竹久夢二美術館を同敷地内に併設したというのも初めて知りました。




 竹久夢二美術館で開催の『夢二×文学「絵で詩をかいてみた」― 竹久夢二の抒情画・著作・装幀―』も観ることができます。もうひとつの特別展示『少年☆少女雑誌 ふろく花伝 ~明治から令和へ続く日本文化~』は少ないですがとても興味深いものでした。子供の頃に買ってもらえなかったりぼんなどの少女マンガの付録はあこがれだったのを思い出しました。それにしても戦時中こんなにすごい付録があったのかと驚いたのが1メートルはある戦艦です。ハサミがなくともできるよう切れ込みが入れられ、子供にも容易に工作できる工夫がされていたそうです。ガスマスク(もちろん紙製)までありました。



 平日だったのでガラガラでしたが、私以外男性というのも意外でした。ノスタルジックな気分を味わえる展覧会です。帰りに足を伸ばして不忍池へ行ったら大きな蓮の花が咲いていました。