もうじき終わってしまいますが、仏像などに興味のある方におすすめなのが、東京国立博物館で開催中の『聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」』(9月5日まで)です。
聖徳太子といえば、昭和生まれにはお札のイメージでしょうが、個人的にはやはり少女マンガ『日出処の天子』(山岸凉子)が真っ先に浮かんでしまいます。そこに描かれている厩戸皇子は、教科書とはかけ離れた人物ですが、リアルタイムで読んでいた私にとっては、もうこっちが史実でもいいと思うほど強烈な超人でしかも美形でした。
20年前には本木雅弘がドラマで聖徳太子を演じていましたが、納得の人選だなと思ったものです。この時代を映像化しているのはあまり観たことがないので、ストーリーも興味深いものでしたが、服装とか家屋などいろいろ見所がありました。次はマンガ『日出処の天子』の実写映像版を観てみたいものです。
もともと遥か昔の謎の多い人物で、想像する余地が大きいこともあって未だに実在するのかと思う人もいるようですが、私も一度に多くの人の話を聴き分けたとか、初めての憲法を定めたということぐらいの知識しかないので、この展覧会で歴史上の人物としての聖徳太子の足跡や人物像を改めて知るいい機会だと思いました。
今回の展示の目玉は27年ぶり公開の秘仏だけでなく、国宝・重要文化財がこれでもかというくらい展示されていることです。聖徳太子に深く関わると思われるものや、よく残っていたというような貴重なものばかりでした。太子信仰が全国に広がっていて、鋭い目つきの2歳の太子像がたくさんつくられたことや本人の足跡というのには驚きました。もちろん聖徳太子の生きた頃のかなり古い仏像なども多く、しかもそれを前から後ろからぐるりと観ることができるのはありがたいです。普段は室内や厨子に納められ、決して目にできないようなものまであったので、気がつけば2時間かかっていました。
さて、〝聖徳太子1400年遠忌記念〟ということでちょっと検索したら、大阪市立美術館で『千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」』(9/4〜10/24)が開催されるというのを見つけました。そこでは山岸凉子の作品も展示されるそうなので、大阪に行けるものならと思ったら、11月にサントリー美術館に来るそうなので楽しみです。それまでにやはり『日出処の天子』を読み返さなければ。それとマンガとコラボした〝おとなの「旅」の道案内〟という本も引っ張り出したので、これで脳内旅行をするのもいいなと思っています。
マンガが描かれたのは30年以上前ですが、未だ異彩を放っていて、当時から男性ファンも多い作品です。少女マンガに抵抗のある人でも入りやすい絵柄なので、興味のある方はぜひどうぞ。