植物の進化というか巧みに変化する速さは人や動物の比ではないと思うことがあります。子どもの頃、秋になると帰化植物であるセイタカアワダチソウが近所の空き地や線路脇に繁茂していましたが、今はその勢いは衰えていますし、最近ではやはり帰化植物のナガミヒナゲシが、春になると辺りを一斉にオレンジ色で彩り、ちょっと駆除するのがかわいそうに思えましたが、周囲との競争に負けたのかいつの間にか減って、しかも小さくなっています。世界の中でも珍しく多様な植物が繁殖している日本は外来種にとっても居心地のいい環境のようですが、生存競争に勝ち残るのは大変なようです。
〝植物に学ぶ生存戦力〟そういうタイトルの番組がありました。俳優の山田孝之と女性アナウンサーが無表情で様々な植物の生態を生存する技という視点で解説していく実にシュールなコントのような演出で、自ら動き回ることのない植物の生き方にしたたかさを見出して解説しているところが、とても興味深い番組でした。
植物をそういう風にみたことがなかったのですが、国立科学博物館で開催している『特別展「植物 地球を支える仲間たち」』(9/20まで)で、いろいろな植物の進化や驚異的な能力を知ることができました。何か珍しい植物をいろいろ展示しているのかなというくらいに思っていたのですがそれは植物園でいいわけで、博物館ならでのアプローチで、植物の生存戦略はどれも面白いものばかりでした。
サブタイトルにあるようにカンブリア紀も恐竜が跋扈していた時代でも、植物が地球の環境を変え、彼らの進化が動物の進化を担う一面があったのがよくわかりました。実物をすべて持ってこれないので、例えば現存する巨大な樹の幹の太さはスマホのフレームに収まらない大きさで、天井からオーロラのように布で表現していましたし、超拡大模型などの展示もよかったです。学校の文化祭の発表のように解説文パネルが多かったので、私としては音声ガイドで植物好きの俳優・滝藤賢一と声優・鬼頭明里の掛け合いを聴く方が楽でした。
花の〝匂い〟は〝ショクダイオオコンニャク〟だけ再現されていてましたが、勇気がなく嗅げませんでした。もうひとつ挑戦しなかったのが、最後にある「光合成FACTORY」というゲームで、巨大スクリーンに映し出されるのでなかなか楽しそうでした。これはスマホ版もあるので期間中遊べます。ミュージアムショップでは冒頭に紹介した番組のDVDに人気の画家・ヒグチユウコなどのアーティストたちやデュエル・マスターズとのコラボ品というのもありました。夏休みが終わって子供連れは少なかったですが、若い人たちが熱心に読んでゆっくり回っていたのが印象的でした。