江戸から明治になってものすごい勢いで西洋のものが流れ込んできましたが、写真は当時を想像ではなく実際にあった建物や人々を私たちに教えてくれるので、テレビや映画で再現されたものとは明らかに違う実物を見ることができるのはとても興味深いものです。


 千葉県の松戸戸定邸の敷地にある戸定歴史館で徳川昭武と渋沢栄一の関連する展示を3回に分けて展示中で、特別展2『幕府再興とパリ万博―1867・運命の転換点』を鑑賞したのですが、大河ドラマに登場した人々の実際の姿が見ることができましたし、結構な数の武士が肖像写真を撮っていたのがわかりました。現在は特別展3『明治日本の国際化―徳川昭武と渋沢栄一の到達点』(2022/4/3まで)を開催中。



 それと日比谷文化図書館で開催中の開館10周年記念特別展『タイムトリップ 江戸から東京へ~資料で綴る千代田の風景~』(12/19まで)は、歴史的な風景の変貌を多くの写真や浮世絵で観ることができます。お茶の水のニコライ堂が建てられた時、あれほど高い建物はなかったのでどこからでも見ることができたというのがわかる風景写真や、そのニコライ堂からぐるりと360度撮影した幕末の写真を今の技術でつなぎ合わせ、会場の一角で実際にニコライ堂から眺めたように展示されていて、それを明治時代の風景と比較できるのが素晴らしかったです。ちょっと狭い空間なので他に人がいないのを見計ってゆっくり鑑賞しました。江戸時代の町の区画があまり変わっていないところやびっくりするような大きな屋根の建物があったのだなとかいろいろな角度から楽しめます。しかも入場料300円で18ページの立派な小冊子ももらえます。会場で上映されている映像で、デジタル加工で配置された人物が風景写真の中で動いているのが、何だか本当に当時撮影したかのようでした。また、4階で「近代建築の父・辰野金吾と海を渡った建築家たち』というのを小スペースで展示していて、今はない建物の写真を見ることができます。



 さて、明治初期の着物と洋服が入り混じった世界を映像で見るなら今放送中の大河ドラマもいいですが、もっと気楽に楽しめる時代劇『明治開化 新十郎探偵帖』(原作・坂口安吾)をちょうど11月から放送しています。軽い内容もおもしろく、食べ物や生活様式などいろいろな風俗がわかるところがいいです。20年ほど前に放送された『山田風太郎 からくり事件帖〜警視庁草紙より』も同様に楽しめる話だったので、再放送されるといいなと思います。