〝ポンポン〟何とも楽しげな響きの名前を持つ彫刻家『フランソワ・ポンポン展〜動物を愛した彫刻家』(3/29まで、4/16から山梨県立美術館)を観に佐倉市立美術館へ。



以前、目黒区美術館の『前田利為 春雨に真珠をみた人』で初めてポンポンの作品を観ることができたとき、いつかもっと観たいと思っていたのでまさに彼の作品展が群馬県立館林美術館で開催されると知ったときに行こうとルートまで検索したのですが、距離もさることながら電車やバスの本数がネックで断念。でも比較的行きやす佐倉に巡回してきたので思いきって初めての美術館へ足を運んだ次第です。


 京成佐倉駅から真っ直ぐゆるゆる登る道の上に大正時代に建てられた旧川崎銀行佐倉支店を活用した佐倉市立美術館は、私の好きな古い建物で趣あるものでした。天井が高くてゆったりした空間が素晴らしかったです。



 ポンポンの年表によるとずいぶん歳になるまで評価が低かったようですが、アール・デコが席巻していた時代に注目されて以来人気が高まったそうです。ロダンの工房で職人として働きながら、ボリューム(量塊)とムーヴマン(動き)を学び、人物像での評価は得られませんでしたが、やがて動物彫刻家へとシフトしたポンポン。彼の作品は毛並みや羽毛がほとんど表現されずに表面がなめらかで、単純化されたフォルムなので批判的な声もあったそうですが、どの作品も決して強くデフォルメされているわけではなく、写実的でそれぞれの生き物の息づかいを感じられるような暖かさをも内包している印象を受けました。なかでも『巣の雌鳩』などちょっと大福のように潰れ気味な鳩がかわいらしく、よく観察されてこの姿を選んだのだろうと思いました。どのポーズも一瞬前までの動きを今とめたかのような生き生きとしたものでした。


 今回の展示で群馬県立館林美術館が多くの彼の小品を収蔵していることを知りました。彼のコレクションを核としているそうですが、ここで観ることができたのでさすがに群馬に行くことはもうないでしょうが、佐倉は武家屋敷や時代祭など見どころがいろいろあるのがわかったので、次はそれを目当てに来てみたい町になりました。たまたま、秋祭りの使われる山車人形が美術館前に展示されていて、検索してみたらおよそ100年ぶりに復活した二番町の山車人形というものだったようです。この秋祭りが今年開催されたらぜひ観に行きたいと思います。

もちろんパリのオルセー美術館の実物大のポンポンの白くまにもいつか会いに行きたいです。