何となく何が描かれているのはわからないけど、観ているとちょっと楽しい気分にさせてくれるシュルレアリスムの画家ミロの展覧会のタイトルが『ミロ展―日本を夢みて』(4/17まで)というのがまず気になりました。なぜ日本が引き合いに出されるのか。これは行ってみなくてはと渋谷のBunkamuraミュージアムへ。ここはわりと見やすい展示なので結構好きな美術館です。だたし渋谷のあの人混みをいかに掻い潜るかが問題。



 さて、ミロの年表からピカソらとも交流があって、あの〝狂乱のパリ〟にいた芸術家の一人というのはわかりましたが、どうも彼の画家人生には他の芸術家によくある悲壮な部分があまりなかった感じがします。もちろん貧しい時代に一日にひとつの干しイチジクで空腹を紛らわし、またその空腹からくる幻覚が創作につながったということですが、20代から個展を開催したり、かなり早くから人気があったようです。また絵画だけでなく、彫刻、陶芸作品も多く残していました。

 当時の芸術家とともにジャポニズムに遭遇したなかで浮世絵だけではなく、〝日本の民藝〟や焼物に惹かれ、日本滞在の長い友人たちから影響もあったらしく、彼の興味は絵にとどまらなかったのがわかりました。でも、ゴッホと違って幸運にも日本の評論家が世界のどこよりも早くからミロを評価し、紹介したので多くの日本人に知られて来日できました。2週間の滞在スケジュールを見ると73歳でこなす内容ではないのによく帰国後寝込まず、さらに受けた刺激から新しい創作を精力的にしていったというのが驚きです。しかも大きな作品を多く手掛けていたのがすごい。やはり実物は素材の質や厚みなどが楽しめるし、彫刻などぐるりと観られるのがいいです。ちょうど3月中は数点写真撮影可でした。


 さてもうひとつ、1階のBunkamuraギャラリーで「江口寿史 RECORD展~『RECORD』出版記念~」(3/31まで)を無料で鑑賞できます。『ストップ!ひばりくん』ファンなのでここは素通りできません。彼の描く女の子は美人というよりかわいいタイプでしかも親しみやすいイメージなのがいいです。今回の展示はジャケットのための小さな線画の原画と印刷で仕上げたものを基にした作品の展示ですが、時代を感じさせないそのポップさがまた絶妙なのがよかったです。デザインによる見せ方を堪能できます。商品購入額により限定でサインをしてもらえるということで、連日本人がいるので平日でもずいぶん来場者がいました。



 さすがBunkamura。いろいろな楽しみがあるのがいいです。