今年の夏はひたすら猛暑で、なかなかふらっと銀ブラという気分になれませんが、最近は100均の店まで出店しているので割と庶民的になっている銀座・京橋界隈にちょっと買い物の用があるなら、ぜひ中央通り沿いで有楽町線銀座一丁目駅7番出口すぐ近くのPOLA MUSEUM ANNEXへ行ってみてください。今開催している『野口哲哉展「this is not a samurai」』(9/11まで)がおすすめです。



 野口哲哉は〝鎧兜をモチーフに人間の内面性や多様性を問いかける美術作家〟だそうですが、甲冑を身に纏っている男たちの表情や佇まいがなんとも言えないものがあります。何しろ単に戦国時代の人物を作り出しているのでがなく、現代人とリンクしているのがおもしろいです。サブタイトルの「これはサムライではない」というのに集約されているわけですが、戦国時代に例えばスマホがあったら、こんな風に見ていたに違いないと思えるリアリティーがありました。


 そういえば『土方のスマホ スマホを手放せない新選組副長・土方歳三が京の都を駆け回る!』というちょっととんでもない発想のショートドラマがあって、それを連想してしました。もしかしたら、野口さんの作品から生まれたものかもしれません。ちなみに再放送が8/24(水)午前2:25からNHK総合であります。23日に夜更かしできる方、ぜひご覧ください。まぁ、録画してあとでゆっくり観るのが普通ですけど。


 さて、展示ですが人形の大きさはさまざまで、マッチ箱に入るくらい(う〜ん、いまどきこのサイズのたとえはちょっと伝わりにくいかもしれませんね)から、70センチくらいの大きさまでバラバラですがどれも細部まで細かく作り込まれていて、一人ひとりの表情がまたいいです。絵画もあって、本当に昔に描かれたのではと思えるような描き方なので、いつか作品の情報が失われて再発見されたとき、これは研究されるべき新事実か!と言われてしまいそうだなと、思わず妄想してしまいました。



 描き込まれたものも立体のものも実際に鉄や布でできているような質感で、今にも動き出しそうです。それでより甲矢鎧を身に付けた人物の内面を見る側が推し量りたくなる気がします。あぁこういう人見たことあるなぁとか、きっとこんなことを思っているだろうとそんなことを考えながら、涼しい会場で過ごすのは楽しいです。11:00〜19:00で入場無料です。