〝化石〟とあるのでこれはまた恐竜の化石なのかなと漠然と思っていたら全然違っていました。〝化石ハンター〟です。タイトルにドーンとあるのに思いっきりスルーしていました。またも予備知識なく行ってしまうパターン。


 ロイ・チャップマン・アンドリュースの中央アジア探検100周年記念 特別展『化石ハンター展~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~』(国立科学博物館で10/10まで)に入場してから「アンドリュース?誰?」という疑問符が浮かんだところで説明パネルがありました。


 というわけで今回の展示は標本や化石ももちろんありますが、〝ハンター〟からのアプローチでした。100年も前の発掘調査をする人たちの好奇心と努力があったからこそ、今私たちはいろんなものを知ることができているのだなと改めて知りました。



 アンドリュースの師であるヘンリー・オズボーンが提唱した人類につながる哺乳類の起源がアジアにあることを証明するために「中央アジア探検隊」(1922〜1930年)を率いてゴビ砂漠で調査して、恐竜の骨や哺乳類の化石など多くの発見したそうです。日本で言えば大正時代の発掘は、写真で見ると参加した人数より多いラクダを引き連れての大キャラバンで、何の目印もない砂漠でかなりの困難を伴う遠征だったのがわかります。


 彼らに続く様々な国の探検家たちが協力して、調査をしていったことがパネル展示されていました。しかしながら、やがて国家間のバランスが乱れて戦争も始まり、発掘などしていられない状況が続いたのを知るとつくづく平和でなければできないことなんだと思い知らされました。どの国に所属していようと共通の目的を持って研究している人たちは、国とか性別とか眼中になく、地球の遠い過去をただ知ろうと研究することが難しくなるのは悲しいです。でも、現代ではこんなに楽しい仕事はないという今の日本の研究者のコメントビデオが最後のエリアで流れていて、若い人を何気に勧誘しているのがちょっとよかったです。


 特別展を観終わって、出口に向かって日本館に行くと企画展『WHO ARE WE 観察と発見の生物学 国立科学博物館収蔵庫コレクション―Vol.01 哺乳類』(10/10まで)というのをやっていて、これがまたとてもおもしろかったです。



 あちこちにある不揃いのボックスに引き出しがあって、開けてみるとそれぞれいろいろなものが仕舞われていました。その表現が実に多彩で、次にどんなものが入っているのかワクワクしてしまいます。会場が少し薄暗いというのもあって、閉館後の博物館でこっそり探検しているような、もっと妄想するとちょっとハリー・ポッターの魔法の世界の雰囲気もあって、全部引き出さずにはいられません。ここは常設展だけ目当てで入館しても見ることができます。特別展の後、余力があれば上の階の日本で発掘された化石など結構いろんなものが展示されていておすすめです。