2021年に閉館した世田谷のちょっと行きにくそうなエリアにあった静嘉堂文庫美術館。ついに行く機会がないまま〝静嘉堂@丸の内〟として、静嘉堂創設130周年の10月に明治生命館1階に新たにオープンしました。



 今度は行きやすいエリアですが、馬場崎通りからだとここに入っていいものかと思うような狭さです。この先に美術館の入口があるという案内もなく、まるでハリー・ポッターの世界に紛れ込んだ気にさせる路地を進むと広いアトリウムに出ますが、美術館の入口が謙虚過ぎて、さらに迷ってしまいました。


 今開催されているのは『響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―』(〜12/18まで)。



 所有する国宝7点を公開していて、なかでも一番の目玉〝曜変天目(稲葉天目)〟は、完全な形で現存する3つのうちのひとつで、特に華やかだそうです。これまで曜変天目の実物を見たことがなかったのですが、特別な照明で展示されている状態で鑑賞できてよかったです。会期中展示物の入れ替えがありますが、これはずっと展示されています。ここも日時指定で、前日ではすでに売切れだったので、早めに買ったほうがいいです。


 ところで、岩﨑彌之助と岩﨑小彌太の父子二代によって創設・拡充された静嘉堂。岡本の建物を見ることができなかったのは残念ですが、ここ建物は近代洋風建築の古典主義様式の傑作と言われる重要文化財で、まるで外国に来ているような感じです。


 実は結構前から見学できたそうで、正直今回の展覧会より個人的にはこっちの見学のほうがテンションがあがりました。コレクションを観終わってから向かったのですが、こちらは先客2人と入口あたりですれ違ったあと、誰も来なかったので貸し切り状態でした。

 美術館になっている部分は中央の吹き抜けを中心に三方にギャラリーがあるのですが、そのホワイエを見下ろせる回廊の奥の部分に会議室や食堂など広い部屋が続いていました。明治生命の店舗部分も同様に吹き抜けになっていて、数人が仕事をしているのが見えました。こちらは無料で見学できます。



 国宝といえば、現在上野の平成館で開催されている『東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」』(12/11まで)も当然気になるところですが、こちらも日時指定制でかなりの争奪戦です。11/1に発売された11/27までの分は2時間で完売。11/29から最終日までの分は11/15発売です。気になっている方は、その日気合を入れて臨まないとチケットを手にすることは難しそうです。幸い私は友人が取ってくれたので行くことができます。