まず現地に行くことはないだろうけど、できれば実物大を観たい展示が『兵馬俑と古代中国』(〜2/5まで)として上野の森美術館で開催中です。


 日中国交正常化50周年ということで、これまでにない規模の展示で東京が最後の巡回地です。今、世界中でいろいろ摩擦が起きて不穏なご時世に見ることができるなんて、まだ平穏な日常を味わえるということですね。



 何度もテレビ番組で取り上げられる中国の兵馬俑。紹介される映像を見ればその大きさは作業している人たちと比較してわかるのですが、やはり実物を前にできるというのは全然受ける衝撃が違います。もちろん現地のズラッと並んだあの大軍団の迫力は望めませんが、こうして何体も並べられているの姿の自然なポーズが今にも動き出しそうでした。間近にぐるりと回って見ることができるのですべての顔や服装、仕草の違いがよくわかります。この大きさの物を造るのは現代ではかなり難しいという解説を見たことがあります。王墓を守る兵士なので型を造って同じものを量産するという安易な発想にはならなかったのですね。


 人体模型を埋葬するという発想はエジプトでもあるので東西共通のようですが、等身大というのは中国でもこの始皇帝のだけで前後の時代にはないそうです。また後の時代に殉教という形に変わったのは、この兵馬俑の影響だという話もあるとか。本来等身大に造ってしまうとそれに人の魂が乗り移ってしまうので避けていたのに始皇帝が禁を破ったらしいです。手間隙かかる作業をせずに手っ取り早い方法に変わったということでしょうか。


 それにしてもこの兵馬俑、馬や馬車まで細部にわたって見事に再現されていましたが、発掘された一部に色が残っていたことから兵士はもともと着彩されていたというのもびっくりです。確かに本物と同じにするなら当然の考えですが、全部当時の色彩ままで発掘されたらちょっと怖いでしょうね。会場の最後のコーナーでその彩色を再現するちょっと遊び心のある演出もあります。



 秦の時代以外の大きさも違う俑や青銅の武器や容器に瓦なども展示されていますが、一番インパクトがあったのが〝彩色一角双耳獣〟です。墓守の俑だそうですが、〝一角獣〟という従来のイメージとのギャップがあり過ぎです。角を前方に向け、耳と尾を逆立て、口を開いて相手を威嚇する姿だそうですが怖さはなくて、どう見てもポケモンの一種に思えてしまうフォルムです。


 他には映画にもなっているマンガ『キングダム』とのコラボ企画で、主要人物の説明が並んでいました。教科書で習った始皇帝のイメージからずいぶん違うものが出てきて実に面白いですね。あの絵はちょっと苦手なのですが、これまでに2作公開された実写映画はとてもおもしろかったので、今年の夏に公開予定の『キングダム3 運命の炎』がとても楽しみです。