フライヤーを見て、てっきりターナーを中心にその時代の作品が来ていると思っていた『テート美術館展 光—ターナー、印象派から現代へ』(〜10/2 国立新美術館)。いくつかの国を巡回し、大好評だった展覧会だそうですが、サブタイトルにあるように対象範囲が広く、こういう企画でない限りなかなか観に行くことがない現代アートがかなり面白かったので行ってよかったです。



 最初のエリアには噴火するヴェスヴィオ山や大洪水などスペクタクルな光の世界で、初めてみる作家の作品でしたが神話の世界に入り込むようで思わず見入ってしまう迫力があり、私だけでなく結構長く観ている人が多かったです。ターナーの作品も近くに数点ありました。彼独特の大気と光という捉えどころのないものをこうして表現しているのがやはりすごいですね。少し進むといきなり大きなエドワード・バーン=ジョーンズの作品があったのにはちょっと驚きました。それとジョン・エヴァレット・ミレイの森の中の草花の作品。ミレイというと『オフィーリア』がまず浮かぶし、人物画以外を観た記憶がなかったので、好みの作家のあまり観たことのないのに出会えるのは嬉しいです。『オフィーリア』にもよくここまでと思うほど植物を描いていますから得意だったのでしょう。森の中の光がとても美しかったです。


 それから講義のために描いた遠近法の図というのが並んでいて、ターナーが講師をしていたということを今回初めて知りました。マイク・リー監督の『ターナー、光に愛を求めて』(2014)という映画でもそういうエピソードは入っていなかったと思います。ターナーを演じたのは自画像とはまったく違うティモシー・スポール。まぁ映画なのでそっくりでなくてもいいわけですが、ずいぶん思い切った人選だなと思いました。実はかなり盛って自画像は描かれているという説もあるそうなので、もしかしたら実際にはそれほどイケメンではなかったのかもしれません。映画をみると画家の生きた時代の事情や彼を取り巻く人間関係、それに風景がわかるので作品に対してまたいろいろな妄想することができる気がします。



 以前見損ねたデンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイの作品に作品から何か照射されたように感じたゲルハルト・リヒターも1点。今回は何も照射されませんでしたが。他にモネ、ホイッスラー、カンディンスキーなど名前の知っている作家の作品も〝光〟というテーマで観るというのは視点が変わる気がしました。


 現代アートもいろいろあって、初めて草間彌生の水玉カボチャ以外の立体作品を観ました。時間制で展示された作品が何点かあったので、他を観てから戻って鑑賞しました。


 最後に展示されていた広い空間にある大きな作品はとてもきれいで、しばらく眺めてしまいました。


 それにしてもテートの名のつく美術館が3つもあったとは。これからもいろんな国の美術館から作品が来るといいですね。