20代の頃、ファッション雑誌の広告ページに〝トルコ大使館イベント〟というのがあったのを見て、大使館に入れるのかな?と半信半疑で友人と行ったことがあります。まだ、今ほど気軽に海外に行くということが一般的ではなかった時代。ごく近代的な建物でしたが、遥か遠いトルコを紹介するイベントで、初めてトルココーヒーを飲んだり、工芸品などを見て気分は海外旅行でした。後になって入国にビザが必要な国なら大使館へ行くというのを知ったのですが、このときはそんなことも知らず、一歩入ったら治外法権の外国だとちょっと恐々だったのもいい思い出です。


 そんな風に大使館に入ることはそれ以来なかったのですが、久しぶりに大使館で開催されているイベントを見つけ、広尾駅で下車して初めてのエリアへ行ってみました。広尾散歩通りという思ったより下町っぽい、でもかなりオシャレ感がある店が並ぶ細い道を通って、聖心女子大学を回り込むように進んだ先のかなり高級そうな住宅地にあるチェコ共和国大使館。その中のチェコセンター東京で開催されている『展示「フランツ・カフカ 時代の子であり、現代の人」』(〜5/20)ですが、まずカフカとチェコが結びついていなかったのです。でもチェコにとってはコンテンツとして欠かせない人物だったのですね。チェコのプラハとくればミュシャを連想しますが、カフカは浮かばなかったです。




 まず、大使館入口でインターフォン越しに来館目的を告げて鍵を解除してもらい、案内表示に従って地下の展示室へ。するとヒゲを生やした若いスタッフが質問があれば遠慮なくと日本語で対応してくれました。


 今回はプラハ生まれの作家フランツ・カフカの生誕140周年(2023年)、没後100年(2024年)を記念したカフカ・フェスティバルのひとつとして、ここではチェコのアーティストのヤクブ・マトゥシュカの作品パネルとカフカをモチーフにしたゲームがパソコンで表示されていました。そのゲームの音楽が流れているのですが、とにかく暗いです。カフカといえば「変身」しか知らないのですが、パネルで知ったカフカの人生もやはり明るさを欠いているので、そうならざるを得ない感じです。以前観た『KAFKA/迷宮の悪夢』(1991)も内容を忘れてしまいましたが、モノクロでひたすら陰鬱なイメージが印象に残っています。気になるのでまた観てみたいですね。


 他に渋谷駅ハチ公前広場・北面仮囲いでアーチストによるアートワークが掲示されているそうです(4/15まで)。