マンガは読んだことはないですが、実写版の映画で〝テルマエ〟という言葉を知りました。その名称のついたユニークな構成の展覧会『テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本』(〜6/9)がパナソニック汐留美術館で開催中です。



 これまで開催された『ポンペイ展』などの古代ローマの展示とはまた違う観点で、なおかつ風呂好きの日本を絡めていて、もちろん『テルマエ・ロマエ』ともコラボしているのもみどころです。


 まず最初にあったのが、美術室によくあるカラカラ帝の胸像。彼の名のついた浴場は日本語では真逆の意味で面白いなと昔思ったので印象に残っています。(教科書に載っていた記憶があります)でも、最初のテルマエを建築したのは初代皇帝アウグストゥスの右腕・アグリッパでした。やはりよく石膏デッサンで描かされるアグリッパはこういうこともしていたのですね。会場にはカラカラ浴場の模型がありました。よくある日本の温泉の複合施設をかなり豪華にしたような感じでした。展示室も床や壁に施された装飾で、実際の感じを演出してくれているので当時の世界にいる気分になれますし、CGでどのくらいの大きさでどういう建物か紹介されていたのもわかりやすかったです。


 ローマの入浴施設はこれまでもいろいろ紹介されていましたが、今回は当時の人々が使っていた〝ストリギリス(肌かき器)〟やガラスの小瓶などの道具もあり、どのように入浴していたのかより想像しやすかったです。


 また、これらの施設のために多くの人や資源が使われたということも解説されていたので、一部の特権階級の人々の娯楽のためにどのくらいの犠牲があったのか考えさせられました。


 そして、日本エリアでは湯屋の模型があり、瞬時に『千と千尋の神隠し』を連想してしまいましたが、人形にネコまでいる凝ったものでついついいろんな角度からじっくり見てしまいました。



 入浴に関連する浮世絵だけでなく、巻き物や本、それに昭和の銭湯に関するものがあって、物心ついてから数えるほどしか行ったことはないのですが懐かしく感じられました。最近のお風呂屋さんはどんななのかわかりませんが、まだこんなのれんが使われているところはあるのでしょうか?


 美術鑑賞という硬いイメージはないので構えず入れて、しかも勉強になる展覧会でした。


 もし時間があって鉄道に関心があるなら、隣の旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で開催中の『大機関車展 日本の機関車を引っぱった勇者たち』がおすすめです。映像も選んで見ることができます。




 4月に行ったので入れませんでしたが、5月にお茶の文化創造博物館というのがここにオープンしたそうです。次回寄ってみようと思います。