とても変わった形の建物で、確かオープン当初は長いエスカレーターで3階の広場へ行くとチケット売場が中央にあって、その近くから入場していたと思いますが、今は1階から入ってチケットを購入するようになっているので、おそらくあのやたらに歩かされるのが敬遠されたのではないでしょうか。(今も使われているかは未確認)強風の日は、ちょっと大変だなと思います。3階に行くにはなだらかな大階段もあるのですが、そのために1階入口は影になってまるで通用口のような感じで、個人的には行くたびに残念な気分になります。まぁ入口はさておき、ここの常設展示は何度行っても楽しめます。



 特別展もなかなか興味深いものがよく開催され、その展示数も多いので、鑑賞帰りに常設展示を観るのはあまりオススメしません。何しろ見どころがたくさんあるからです。


 一番は何と言ってもどーんと広い空間にかかる橋です。これから時代を遡る気分で、両側の眼下にある西洋建築の「朝野新聞社」と江戸の芝居小屋「中村座」を眺められます。縮小サイズの「十二階」こと関東大震災で倒壊した「凌雲閣」「第一国立銀行」「ニコライ堂」もありますし、床下の「鹿鳴館」はエントランスから建物までの様子を音声付きで楽しめます。


 もうひとつの目玉は両国橋西詰の模型です。当時火事が多かったので、照明にろうそくを使っていた芝居小屋は川岸に並んでいたというのを再現しているそうですが、これがめちゃくちゃ凝っています。町にいる人たちはそれぞれ個性があって話し声が聞こえてきそうです。展示物のまわりから奥まではちょっとわかりにくいので、コンサートや美術鑑賞に持って行く双眼鏡や単眼鏡があるといいですが、今は設置されていたかもしれません。



 ほかにも「三越越後屋江戸本店」や「銀座煉瓦街」の模型も人形たちで賑わっていて、どれも見ていて飽きません。他には神田明神山車や等身大の人形で再現された芝居の場面もありますし、長屋や絵草紙屋の実物大展示、玉川上水の解説やら、浅草六区の変遷などのパネル解説などなど。


 江戸時代から高度成長期の団地の一室まで、駆け足で全部を一通り観たら、次に来たとき、このエリアを重点的に見ようと決めるか、もしくは一日中そこで過ごす覚悟で来るというのも手です。


 今は休館中なので、実際に行って体験することは叶いませんが、ありがたいことにホームページで細かく展示紹介をしてくれていて、一部分ですが模型の中に入り込めた気になれる映像もアップされています。とりあえずこれでシミュレーションをしておいて、再開されたらまた足を運びたいと思います。