今やブームという一過性のものではなく、ごく当たり前に韓国関係のものがまわりにあふれていて、ほんの20年ほど前、日本と韓国はお互い知ることがほとんどなかったのが不思議なくらいです。新大久保ではソウルに行かずとも人気のコスメが買え、美味しい韓国料理が定番から屋台のB級グルメまで食べられます。一時下火になりましたが再び盛り返して今は定着したというところでしょうか。ヘイト問題とかいろいろありますが、2000年頃この一番近い隣の国のことはまったく視界に入っていませんでしたが、2001年から始まった深夜番組『チョナン・カン』で元SMAPの草彅くんが韓国に乗り込んで、街頭インタビューしたりするのを見ていくうちに少しづつこの国の〝今〟を知るようになり、当時、韓国側は日本文化の流入に制限をかけているなか、日本に興味を持つ人がいることがわかりました。日本でも『JSA』(2000)が話題になって少し関心が高まりましたが、ハードボイルド系は苦手なので私はスルーしていました。2003年からの『冬のソナタ』で韓流ブームが始まり、私もこの昔の少女マンガのような展開にはまりました。続く『チャングム』で韓国の歴史や食事・医療の様子までも描かれているのが興味深く、毎週とても楽しみにしていました。友人たちと韓国へ行ったとき、全員観ていたので、あのセットのある施設でちょっと〝チャングムごっこ〟ができて楽しかったです。


 次第にさまざまな韓国映画が公開されるようになりましたが、ちょっとリアル過ぎて怖い描写が多いので、要注意でチェックしています。そのなかで本当に近年こんなことが韓国であったのかと思い知らされたのが、『光州 5・18』(2007)。1980年の韓国は軍部が力を持っていたというのもよくわかっていなかったのでびっくりしました。2017年公開された『タクシー・ドライバー』では別の角度からこの事件を取り上げています。知ろうとしないと違う世界しか見ていないことになるのですね。



 それとつい最近観た『マルモイ ことばあつめ』(2019)は単館ではなく広く上映してほしい内容で観てよかった1本です。フィクションですが、日本統治下での事実をつなぎ合わせているようです。侵略者が人々から言葉を奪うという残虐な行為はよくある政策ですが、韓国人の子が「韓国語を話せません」と日本語で答えたのには登場人物と同じく私も衝撃を受けました。教科書で習った日本が統治したという一文だけでは知り得ないことを教えられました。



 またドキュメンタリーでオススメなのが韓国で大ヒットし、海外でも注目された『あなた、その川を渡らないで』(2014)。苦楽を共にしてきた老夫婦が過ごす何ということのない日常を映し出しているのですが、とても引き込まれる作品でした。



 今後もガチなバイオレンス系はたぶん避けると思いますが、『パラサイト 半地下の家族』(2019)などまた面白そうな作品が来るのが楽しみです。