駒込駅から徒歩8分、千石駅から徒歩7分のところにある不忍通りの東洋文庫は、岩崎久彌の支援によって1924年に設立された日本最古の東洋学研究図書館だそうです。



 そこにある東洋文庫ミュージアムの展示告知チラシは名前に合わせて本の形をしていて、以前から気になっていましたが、初めて入ったとき展示内容より驚いたことがあります。


 ひとつは〝モリソン書庫〟の圧巻の存在感。私の蔵書ではこんな格調高い本棚には絶対なりませんが、こういう本棚で覆われた壁に憧れます。



 そしてもうひとつの〝回顧の路〟。ここでいきなりインディー・ジョーンズ気分のアドベンチャーを味わえます。なぜこんな仕掛けがと思いますが、ここを通るときはわかっていてもこのクレパス・エフェクトの橋の上で足裏をムズムズさせながら恐々歩いてしまいます。



 そんなワクワク感まで味わえるミュージアムの展示は地味めですが、毎回面白そうな企画で、しかも基本的に撮影OKです。展示内容は年3回ほど替わります。先日までの『大宇宙展―星と人の歴史』では、西洋以外の星座の表記を初めて知ることができたのがよかったです。東洋のものの展示は考えてみると美術品でのはよく観ても、こういう書物などをテーマでまとめてあるのをみる機会は少ないので発見が多いです。点数はそれほど多いわけではないですが、料金も安いし、多少混むと入場制限がありますが日時指定制ではないので割と行きやすいです。



 建物はシンプルですが、吹き抜けになった1階の展示室の一面は大きなガラスの向こうに中庭の〝シーボルト・ガルデン〟の緑に癒されます。展示を鑑賞した後は、敷地端の〝知恵の小径〟に並ぶパネルにある見たこともない文字が刻まれたアジア各地の名言を眺めながら進むと洒落たカフェがあり、庭のシーボルトの『日本植物誌』に掲載される実物の木々や花々や彫刻を楽しむこともできます。



『岩崎文庫の名品―東洋の叡智と美』が2021年1月17日まで開催中。鈴木春信などの浮世絵もあって面白そうです。




 もし、〝モリソン書庫〟のような書斎で本を手にお酒を飲みたくなったら、銀座の泰明小学校の隣のビルの地下にある〝十誡〟というBarがうってつけです。ちょっとダークな空間ですが、自分が貴族の館の主人になった気になれる妄想に浸れます。日中ならコーヒーにケーキを楽しめます。