創建当初の姿になって2014年に100周年を迎えた東京駅丸の内駅舎は、保存・復原工事について随分議論がされていたようで、すでに2代目の駅舎の方が、長く建っているのだから最初の形にする意味がないという声もあったようです。そこの一角にあった東京ステーションギャラリーはレンガの壁が剥き出しで、とてもレトロな雰囲気だったので展覧会だけでなく、この空間を見るのも気に入っていました。工事で閉館してしまった時は少なからずショックでした。果たしてギャラリーも再開されるのか、そのときどういう状態になっているのか気になっていました。駅舎復原後、確かギャラリーは同時再開ではなかったので、どうなるのかやきもきしました。結局レンガの壁も一部活かして再オープンした時はうれしかったです。エレベーターもついたので少し楽になっていました。
展示スペースは思いの外広く、天井も高いのでとてもリラックスして回れるのがありがたいです。個人的には思い込みと妄想力ですが、何だか海外のギャラリーに来ている気分を味わえるのがいいです。それと端にある回り階段の空間はちょっとおしゃれで気に入っています。
ここは美術館とは違うさまざまな企画展示がされます。駅舎なので鉄道関連の展示や、追悼追悼特別展「高倉健」に、一般的には知名度がちょっと低い、それでいて知る人ぞ知る感じの作家の作品展だったりして楽しみです。何しろ駅に直結しているので行きやすいのもいいです。
今開催中の『もうひとつの江戸絵画 大津絵』(11月8日まで)は歴史資料としてではなく、美術品の視点から取り上げられているのが興味深く、実は多くの文化人が着目していたというのを知ることができてよかったです。単なる土産物のおまじないの絵というくらいの認識だったので、最初に大津絵に着目したのが浅井忠や柳宗悦などで、小説家や洋画家、それにピカソやマティスまで大津絵を持っていたとは思いませんでした。この滑稽な大津絵の良さというか面白さを展覧会も開いて多くの人に広めたというのも初めて知りました。これはがんばってよかったです。
実はここもまた予約制なのでチケットが取りづらかったのです。時間毎の入場は100人で、当日売切の場合は入口に完売の表示を出すということでした。でも知らずに来た人たちは丸の内南口前のKITTEの地下1階のコンビニなのに目立たないローソンで買うように言われていたので、もう少し何とか年配の人とかにも使いやすい仕組みにしてほしいです。
それと、もうひとつの楽しみがここに来た時だけ入れる東京駅丸の内の改札口の吹き抜けの回廊。そこには昔の駅の一部やこれまでの周辺の模型などが設置されているのを見ることができます。