〝〇〇コレクション〟と銘打った美術展は、金銭的余裕のある美術愛好家あるいは、金銭面はともかくマニアックなコレクターが情熱を傾けた収集品の展示になるかと思いますが、京都国際マンガミュージアムの館長でもある荒俣宏氏による自らの作品をも含めたちょっと変わったコレクション展が、京都での開催に続いて東京で始まりました。



  この〝荒俣宏〟という人は最近ではテレビのコメンテーターとしてよくテレビで見かける人ですが、最初にその名を知ったのは彼の代表作『帝都物語』の映画(1988)でした。そのときはどんな風貌なのか知らなかったので、もっと強面な人だと思っていました。その後、博物学というものを世に広め、メディアにもよく登場するようになってあの博識だけど研究者のわりに気さくな感じの人が、あの帝都物語の作者だとはすぐに結びつきませんでした。




 何となくすごいコレクターらしいとは思っていましたが、少年時代からちょっと半端ない趣味を持っていたのが今回の展示でよくわかりました。


 最初はマンガ家をめざしていて小学生の頃から描き続け、大学生のときには仲間とアニメまで製作していたそうです。共に創作していた妹さんものちにマンガ家になりましたが、元々は日本画を習ったりしていた母親の遺伝子なのかもしれません。斬新なアニメは会場で見ることができます。


 また同時にさかなクン並みに魚に熱中していたことが、たぶん 『世界大博物図鑑』に発展したようです。それに中学生のときには海外怪奇文学の紹介者だった平井呈一氏に手紙を書き、原書を読むように勧められて辞書片手に本を読むという日々を送り、大学生時代に日本では無名の作品を翻訳をして同人誌で紹介するまでになったり、学校の図書館で目にしたイラストに魅せられ、のちにコレクションしたとか、好きに対する情熱がすごくある人でいわゆるオタクの趣味まっしぐらでここまでになったのがよくわかりました。


 彼のこれまでのコレクションがダンボールに入れられているという展示がまたピッタリという感じで、本人が会場で書き加えた独特の文字もおもしろい演出になっています。



 コピーした作品がファイルされているのを手にしてゆっくり観れますし、映像のインタビューもおもしろいです。


 会場は日比谷公園の端にある日比谷図書文化館で12月16日(水曜日)まで開催中。しかも大人300円!です。