シリーズ『くすりになったコーヒー』


●サード・ウェーブ・コーヒーが間もなく日本上陸か?


 スターバックスを擁する米国で、コーヒーの波が何回起っても、そりゃカラスの勝手でしょ。でも第3の波が日本を襲うとか言って、ヤキモキするのは勘弁してもらいたいです。なんだかんだ言っても、米国人がスターバックスに飽きただけの話でしょ。


 日本のコーヒー関係者の間でも「第3の波」について色んな見方・感じ方があるようです。真相を伝えている解説を探してみましたら、NHKオンライン版で7月13日放送の「海外ネットワーク」がありました(詳しくは → こちら)。


 このニュースを勝手に要約してみます。


「ちょっと昔のことですが、コーヒー好きのアメリカ人が日本へ来て、とある喫茶店で1滴1滴のんびり淹れるコーヒーに出くわしたんだとさ。名前は点滴注射みたいでしたが、それはもう生まれて初めての経験で、ロケットに乗りこんで宇宙に飛び立つような気分になったんだそうです。早速道具を買いあさってさっさと帰国し、日本の道具を使ってゆっくりゆっくり点滴コーヒーを淹れる店を作りました。本来真面目で新らし物好きのアメリカ人にとって、『こんなコーヒー飲んだことない、もうスターバックスなんか行かないぞ』との口コミが広がって、あっという間に10店舗も作ってしまったんだってさ。どこの店も大繁盛してるよ。皆さんもネルドリップ珈琲店へどうぞ」。




 来春には日本にもチェーン店が出るのだそうです。日本の喫茶店経営者も興味を持っているようですが、自家焙煎のコーヒーに更なる磨きがかかるのだろうと期待できます。


 ところで喫茶店と言えば、目の前で何やら化学実験のような道具を使って淹れてくれる店、赤ちゃんの靴下みたいなコットン小袋を使って芸術的カップに点滴してくれる店、3日もかけて冷水で抽出したコーヒーを出す店、30年も寝かせた樽コーヒーを出す店、等々あります。そしてついに吉永小百合さんまでが、岬の喫茶店主になってしまいました(第217話を参照)。


 だが何故か・・・


●病気を予防する健康コーヒーを淹れてくれる店はない。


 実は筆者は、スターバックスの次は『病気予防のコーヒー』ではないかと予想していたのです。でも、どうやら米国では『病気予防のコーヒー第4の波』の前に、日本式に変身する必要があったのではないでしょうか?きっとそうだと思います。


 何せあちらのコーヒーは薄すぎて効かないか、苦過ぎて効き目より先に毒が回るので、「くすりになるなど以ての外」なのです。


●日本のコーヒーの欠点と言えば、フィルターコーヒーを「ドリップコーヒー」と呼ぶことぐらいです(マンガを参照)。


 ペーパードリップもネルドリップも、アメリカ人には(イギリス人にも)点滴注射と間違えられて、元気な人は飲みに来てくれません。日本発にするにはそれが一番心配です。


(第219話 完)


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