シリーズ『くすりになったコーヒー』


 2010年8月の第71話で、「コーヒーと高血圧」について書きました。その時はまだメタ解析論文はありませんでした。世界各地の個別調査では、「コーヒーは血圧を下げることはない」との見解が優勢で、その原因はカフェインにあるとされてきました。一方で、「カフェインには血圧を上げる効果はない」との論文もあって、状況はかなり複雑なようです。一方、世の中一般の大部分の人々は、医療者も含めて、「コーヒーは血圧によくない」と思っているようです。


 昨年になって2つのメタ解析論文が発表されました。1つは高血圧の人を対象としたメタ解析(詳しくは → こちら )。


 もう1つは正常血圧の人を対象としたメタ解析です(詳しくは → こちら )。


 ここでは主に後者の正常血圧の人について紹介します。


 下図(原著を一部改編してある)をご覧ください。横軸には調査対象の人達を、1日に飲むコーヒーの杯数で分類し、縦軸には高血圧を発症した人数の割合を、杯数に応じた相対リスクで示してあります。杯数0の人たちの相対リスクは1.00となっています。



 赤い実線で示したグラフは全体の平均値として見てください。赤線はほぼ平らですから、全体としてみれば、コーヒーは高血圧発症にほとんど影響しないと言えます。強いて言えば、1日2〜4杯でほんの僅かにリスクが高まる傾向にありますが、実生活で問題になるほどではありません。


 一方、高血圧の人を対象としたメタ解析でも、若干の血圧上昇が認められるものの、長いこと飲み続けて高血圧が悪化するとか、コーヒーが原因で心臓病に発展するというような関係はありませんでした。結局、メタ解析から言えることは、


●コーヒー飲用はわずかな血圧上昇をもたらすが、高血圧症の発症とは無関係である。


 ということですから、少々血圧が高めの人でも1日数杯のコーヒーを飲むことが高血圧症のリスクを高めることはありません。降圧薬を服用している人の場合にも、好きなコーヒーを止めなければならないという理由はありません。


 ただし、高血圧は心臓病を悪くする原因の1つですから、心臓病のある人ではコーヒーの飲み過ぎに要注意です。何故なら、1日5杯以上、特に7杯以上にもなりますと、コーヒーは心臓病と関係しますし、脳卒中とも関係して、死の病気のリスクを高めてしまうからです。


 血圧が高目なコーヒー好きの人にとっては寂しい話ですが、朗報もありますよ。


第71話に書いた「血圧が下がる缶コーヒー」が特保の承認を得ています(詳しくは → こちら )。


 血圧を下げる缶コーヒーの開発で、コーヒーの魅力が又少し増したように思われます。


(第151話 完)


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