シリーズ『くすりになったコーヒー』


 AGEsと呼ばれる糖化最終産物について、第92話に書きました。ここではAGEsの除き方を考えてみます。と言いましても、これまた第92話に書いた「濃く淹れて薄めて飲む」以外に良い方法はなさそうです。そこで今回は、AGEsと健康の関係について、やや詳しく書くことと致します。


 AGEsは元々糖尿病患者の血液から見つかったものですが、その形が焙煎コーヒーのメラノイジンという着色成分と似ています。複雑ですので、似ている点と異なる点を整理して表にしてみます。



 ということですから、メラノイジンは除けるものなら除いた方がよさそうです。ただし全部除いてしまいますと、最早コーヒーの味ではなくなってしまいます。そこで、メラノイジンのなかでも「嫌な雑味」の元となるものだけを除けばよい、ということなのです。


●雑味を除くだけでAGEsの害を排除できますか?


 これは実に難しい問題です。今の所、この問題に答える方法は1つしかありません。


●哺乳類は、苦味をもつ植物を毒として食べないように進化してきました。


 哺乳類は苦味に非常に強い興味を抱きますが、嫌な味の苦味は避けるようになっているのです。ただし個々の例を見れば、これには例外があって、安全と思って食べたアルカロイドの毒で死ぬこともあるのです。確かに言えることは、人類全体として多くの苦味に対して、食べられる苦味と食べられない苦味を識別できるようになっているということです。


●コーヒーには美味しい苦味と雑味の苦味があるので、「雑味の苦味を除いて飲むコーヒーにはAGEsの害が及ばない」と信じて楽しむ以外にありません。


 コーヒーを飲むという習慣には、敢えて怖いものに挑もうとする人間の本能を見るような気がします。


(第98話 完)


栄養成分研究家 岡希太郎による
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