シリーズ『くすりになったコーヒー』
黒ダイヤのように艶があって、黒褐色の油分が浸み出す焙煎コーヒー豆には、コーヒー本来の味と香りが凝縮されています。苦味に慣れない人がストレートで飲むのは正直言って無理でしょうし、そうする必要もありません。どう淹れたらストレートで飲めるでしょうか?
●でもその前に、第86話のグラフを見てください。
「深煎りコーヒーは浅煎りとは段違い・・・共通する成分はカフェインだけです」(詳しくは コーヒーの処方箋→ こちら )
コーヒーの味は、旨味と苦味の絶妙のバランスにありますが、嫌な苦味は雑味です。雑味のない苦味にすれば、それは旨味に近づきます。雑味を除く方法はあるでしょうか?
●それこそコーヒーの職人技です。
筆者はコーヒー研究家なので腕に技がありません。あくまでも科学の話に限りますが、それでも知ると知らぬとでは、天と地ほどにコーヒーの味が変わります。
【旨味と雑味の溶け方の違い】
日本コーヒー文化学会機関誌「コーヒー文化研究No.15」に、高木誠会員が「うるおいドリップ」を解説しています。誰にでもわかるようにちょっと書き直しますと、
○旨味の成分は、どんな水にも熱水にもよく溶ける。
○雑味の成分は、ただの熱水にはよく溶けるが、何かが溶けていると溶けにくくなる。
さあ、この原理を使って深煎りコーヒーを淹れてみましょう。淹れ方は高木氏のホームページを見れば簡単です。 (詳しくは → こちら 。
「うるおいドリップ」を淹れるために、高木氏は使い捨ての100¥カップに穴を開けました。それも面倒だという人のために、筆者の更なる簡便法は如何ですか。
●普通のペーパーフィルター式で雑味を少なくする方法
(1)できるだけ苦そうなコーヒー豆を買ってくる。
(2)普通に顆粒にする。
(3)できれば30グラム(3杯分)以上の豆を使う(少ないと失敗する)。
(4)フィルターを濡らして、漏斗の壁にしっかり押しつける。
(5)顆粒をフィルターに入れる。
(6)コーヒー専用に、テーブルスプーンの首を90度に曲げておく(膨らみを外側)。
(7)それを使って顆粒を押さえて平らに詰め込む(地固めが肝心だよ)。
(8)熱水を静かに注いでしばらく放置(蒸らし)。
(9)普通に熱水を加えて、普通の半量で抽出する(泡が出てもいじくらない)。
(10)抽出液に同量のお湯を足して、カップに注いで、終了。
●深煎りコーヒーは、「濃く入れて薄めて飲むべし」だそうですよ。
【メタボが気になる方】深煎りコーヒーを食前に飲めば、ダイエット効果が高まります。
さて次回は、もう少し気の利いた方法に挑戦します。
(第90話 完)