シリーズ『くすりになったコーヒー』

 先進国の死因、ダントツ1位は『癌!』。癌を予防する食べものこそ、アンチエイジングの王様です!


 前世紀の半ば、コーヒーを飲むと癌になる! 心臓にも悪い! と言われました。コーヒーが世界の飲料になるために、越えねばならぬ壁ができたのです。この壁のことをもっとよく知るために、コーヒーと病気の関係を調べる研究が始まりました。最初のテーマは、“コーヒーを飲むと子宮癌になるというのは本当か?”でした。


 初めのうちは研究方法もまちまちで、得られた結果もまちまちでした。コーヒーを飲むと子宮癌に「なりやすい」、「いやなりにくい」、「どっちでもない」・・・結論は出ませんでした。やがて研究方法が工夫され、コンピューターも進歩して、世紀が変わると予期せぬ事実が見えてきました。


☆☆☆コーヒーを飲んでいると、子宮頚(けい)癌になりにくい。


★★★一方、子宮体部癌のリスクは変わらない。


 どういうことかと言いますと、子宮癌には2種類あって、コーヒーで予防できるのは子宮頚癌だけ、ということです。


●子宮頚癌の特徴 ・・・20代の若い女性でも罹る子宮癌の1種。ヒトパピロマウイルスという性感染ウイルスが原因で前癌状態になる。この段階で早期発見すれば治る。


 国立がんセンターと東北大学のグループが別々に調査して同じ結論になりました。コーヒーは効くがお茶は効きにくいということもわかりました。有効成分はカフェインだけではないのです。


 では子宮がん以外の癌はどうでしょうか? 過去50年間に膨大な研究が行われ、意外な結果が得られつつあります。


☆☆☆コーヒーで予防できる癌とは、ウイルスが原因の癌である。


☆☆☆その他の癌は、良くも悪くもならない。


 ということで、「子宮頚癌とC型肝炎ウイルスの肝臓癌」、この2つがコーヒーで予防できるウイルス性の癌なのです。コーヒーはアンチエイジング食の王様です。


 さて、コーヒーに抗ウイルス作用があることを最初に見つけたのは、和歌山医大の小山一教授でした。効き目の強さは驚くべきもので、しかもどんなウイルスにも効くのです。一体コーヒーの何が効くのでしょうか? 筆者は小山教授の協力を得て実験してみました。研究の現状は次のとおりです。


☆ギ酸・・・抗ウイルス作用をもっているが、弱い。


☆NMP・・・コーヒーのなかでギ酸塩として存在し、ギ酸より強い作用を示す。


☆カフェイン・・・さらに強い作用を示してウイルスの増殖を抑えるが、殺ウイルス作用はない。


☆コーヒーそのものの効果は、上記成分の和より強く、殺ウイルス作用を示すこともある。


これらの事実から次のようなことが言えます。


☆☆☆コーヒーの発癌抑制は複数成分の相乗作用による抗ウイルス効果である。


 ごく普通に考えれば、コーヒーのなかに何か強力な抗ウイルス物質があるのではないかということですが、事実はそうでなく、複数の成分の効き目が重なって強い作用につながっているのです。


勿論、第16話に書いたクロロゲン酸も、その抗酸化作用で前癌状態の炎症を抑える役目を果たします。抗酸化作用はウイルスを殺しはしませんが、ウイルスから細胞を護っています。

厚労省は「コーヒーが肝臓癌を予防する」発見に「お墨付き」を授けました。内容はホームページに公開されています。


『コーヒー摂取と肝がんの発生率との関係について(厚生労働省研究班)』

文科省研究班も結果を公表しています。


『コーヒー飲用と肝臓がん死亡リスクとの関係』

正にコーヒーはトクホ(特定保健用食品)を超える健康飲料です。もっともっとコーヒー飲んで、ウイルス性癌の予防運動を起こしましょう!(もっと詳しく読みたい人は → こちら


(第17話 完)


栄養成分研究家 岡希太郎による
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